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「一報の恩人」と再会  後藤さん「胸のつかえ下りた」

7/16(日) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

「一報の恩人」が見つかった。水戸市渡里町の豆腐店、後藤やえさん(79)は、夫が自転車で行商中に事故に遭ったことをいち早く知らせてくれた女性との再会を果たした。やえさんは「どこのどなたか分からなかったが、直接お礼を言えて、ようやく胸のつかえが下りた」と喜んだ。


女性は、水戸市飯富町、中学校教諭、宮田衣美(えみ)さん(36)。やえさんが探していると報じた6月17日付の茨城新聞を見た友人から連絡を受け、やえさんの気持ちを知った。当初は「当たり前のことをしただけ」と思って名乗り出ないことも考えたが、友人らの勧めもあり、同店を訪れた。

これまで、やえさんはラジオ局に人探しを依頼したり、自ら尋ね歩いたり、宮田さんを探し続けていた。ついに再会を果たし、何度も「ありがとうございました」と感謝。夫の誠さん(80)がまだ入院中で、店も再開できていないが、笑顔を見せた。

5月12日のことだった。宮田さんが正午ごろ、車で自宅近くまで来ると、車にはねられ、男性が倒れていた。周囲には豆腐が散らばり、自転車がゆがんで倒れていた。「いつものお豆腐屋さんだ」と思った。

これまで、ラッパを吹きながら自転車で豆腐を売る誠さんをよく見掛けた。幼い娘3人はラッパの音が聞こえると、急いで外に出て手を振っていた。

車を止め、救急車を呼ぼうとすると、電話をかけている人を見た。やじ馬になってはいけないと思い、現場を後にした。

家に帰ったが、「大丈夫だろうか」「何かできることはないか」と思い、家族のことが気になった。「急いで知らせなきゃ」と車に飛び乗り、ここだろうと思う豆腐店を目指した。

案の定、やえさんは何も知らず店にいた。事故を説明して車に乗せ、再び事故現場に向かった。「おじいさんが搬送される前に声を掛けてほしい」という一心だった。ぎりぎり間に合い、やえさんは病院に向かったため、2人はそれっきりとなった。

「自分にできることをしただけ」と恐縮する宮田さん。やえさんは「直接お礼が言えて良かった」と話している。 

(松原芙美)

茨城新聞社