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CEOは最高経営責任者ではない? 冨山氏が指摘した理由

7/16(日) 18:40配信

ZUU online

日本でも近年、会社のトップの肩書きに使われるようになったCEO。Chief Executive Officerのことであり、「最高経営責任者」と訳されている。株式会社経営共創基盤の冨山和彦代表取締役CEOが、CEOの訳語がおかしいとの持論を展開して話題になっている。冨山氏は「最高執行責任者」とすべきだというのである。

米国の会社登記制度によると、オフィサー(officer、役員)の登記が義務づけられている。オフィサーは取締役会から選任され、株主総会で承認されて、会社の業務を代行執行する役職である。その伝統的な役職名がPresident(社長)、Vice President(副社長)、Secretary(秘書)、そしてTreasurer(会計役)らだったが、近年は業務執行の最高責任者の役職名は、Presidentの代わりにCEOと呼ばれるようになっている。いずれにしても、取締役会の決定した経営方針などの執行や日常の具体的業務執行を行う”執行役”である。

■CEOとPresident の違いは?

明確な定義はないが、米国における解釈の一例を挙げておこう。

 ・CEOは、中長期的な経営・事業計画を策定し実行に移す最高責任者であり、オフィサーを代表して取締役会もしくは経営陣と話し合う権限を持っている。
 ・Presidentは、短期的または日々の経営・事業計画を策定し実行に移す責任者であり、CEOがいる企業では、CEOに報告する義務を負う。

社長とCEOと代表取締役という役職の中で、日本の会社法で定められている正式の役職名は、代表取締役だけだ。同じように見えても、厳密に言えばそれぞれ概念は違う。社長とCEOは単に執行役という解釈になる。名刺の肩書きに、もし「代表取締役社長」「代表取締役CEO」となっていれば、会社の経営権を左右する権限が付与されていることになる。

■CEOとCOOの違い

似た肩書きにCOO(Chief Operating Officer)がある。こちらは高執行責任者と訳されている。米企業においては、COOはCEOの直下にあって、CEOが執行する経営方針や業務戦略を現場で代行、実行する最高責任者ということになる。

ちなみにCFO(Chief Financial Officer)は最高財務責任者のことで、財務の執行を統括する責任者。さらにCTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)、CRO(最高リスク管理責任者)、CAO(最高総務責任者)などの役職もある。

■CEOは「最高執行責任者」、COOは「最高業務責任者」が妥当

ソフトバンクグループの孫正義代表取締役会長兼社長はじめオーナー企業の業績が注目されている。日本でも近年、オーナー企業の業績が上がっているが、オーナーと経営陣がはっきり分かれている米国型の経営では、CEOをトップとする執行役員の役割が重要になっている。CEOは取締役会から新任されて、経営権を委託されて業務に全責任を負う。

しかし日本では、企業の代表権はあくまでも取締役または代表取締役、委員会設置会社においては代表執行役が有している(会社法349条)。CEOやCOOには法的な裏付けがなく、社内での呼称にとどまっているのだ。

冨山氏は、会社の常設的な最高経営機関は取締役会であるから、経営者はそこから執行権を付託されているに過ぎないと主張する。そうなるとCEOは「最高経営責任者」ではなく「最高執行責任者」と訳すべきという主張は、これまで見てきたようにおのずから正しくなる。関連してCOOは、最高執行責任者ではなく「最高業務責任者」くらいの訳になるのが妥当かもしれない。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

最終更新:7/16(日) 18:40
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