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北方領土に「モノの移動」新枠組み 日露、来月次官級で協議

7/16(日) 7:55配信

産経新聞

 日露両政府が開く8月下旬の次官級協議で、北方領土での共同経済活動の実現に向け、「モノの移動」を可能にする新たな枠組みづくりに着手する方向で検討に入ったことが15日、分かった。複数の日露外交筋が明らかにした。日本側は共同経済活動を行う上で必要な双方の法的立場を害さない「特別な制度」として実現したい考え。各事業に共通する枠組みと位置づけ、共同経済活動の事業絞り込みと並行して協議する。

 日露間には現在、北方領土への「モノの移動」に関する枠組みがない。過去に日本側が北方四島に設置したディーゼル発電施設は、ロシア人住民への支援として供与した。しかし、共同経済活動は民間業者がビジネスとして展開するため、供与はできない。商品や資機材を北方四島に移動させる際に露政府が関税を課せば、ロシアの主権を認めることにつながりかねない。

 このため、日本政府は新たな「モノの移動」の枠組みをつくり、日本の主権を害さない形で共同経済活動を実現したい考え。「特別な制度」は個別事業ごとに必要となる法的枠組みと、各事業に共通して必要となる枠組みの2つに大別される。「モノの移動」に関する枠組みは「多くの事業にとって、いずれ必要になるもの」(日露外交筋)で、次官級協議で先行して協議を行う。

 ただ、北方四島を自国の領土と主張するロシアにとって商業ベースの「モノの移動」は課税対象となることから、関税徴収を主張する可能性もある。このため日露間の協議が難航する恐れもある。

 一方、人の移動に関しては、元島民や学識経験者らを対象とした「ビザなし交流」や元島民による墓参などの枠組みがある。だが、商業活動を想定した枠組みはなく、共同経済活動に支障を来す恐れがある。日本政府はロシアのビザがなくても北方四島を訪問できる対象者を日本の経済関係者らに広げる枠組みづくりも協議したい考えだ。

 8月下旬の次官級協議はモスクワで行われる予定で、日本側から秋葉剛男外務審議官、ロシア側からモルグロフ外務次官が出席するほか、両政府の関係省庁担当者も同席する。今年3月に東京で初会合を開いて以来の公式協議で、6月末に実施した北方領土での官民調査団の視察結果を踏まえ、具体的な事業の絞り込みも行う。

最終更新:7/16(日) 8:14
産経新聞