ここから本文です

<都市対抗野球>チームは共に被災地 2人は甲子園で8強

7/16(日) 20:34配信

毎日新聞

 ◇○ホンダ熊本(大津町)4-0日本製紙石巻(石巻市)●

 第88回都市対抗野球大会第3日の16日、第1試合で対戦した宮城県石巻市・日本製紙石巻の篠川拓也内野手(25)と熊本県大津町・ホンダ熊本の稲垣翔太内野手(24)は、大分県の明豊高校で三遊間コンビを組み、甲子園で8強入りしたかつての仲間だ。初の全国大会での対戦は、地震に見舞われた被災地の代表同士でもあった。「野球ができることに感謝しよう」。同じ思いで試合に臨んだ。

 2人は同県別府市出身で、中高の先輩後輩。8強入りした2009年夏の甲子園では、1年生で唯一メンバー入りしたが大分大会無安打で悩んでいた稲垣内野手を、篠川内野手が「お前なら大丈夫だよ」と励ました。「いつか全国で戦おう」。それが卒業後の約束だった。

 熊本地震が発生した昨年4月。篠川内野手はすぐに稲垣内野手に携帯電話でメッセージを送った。「大丈夫か」。ふるさと大分と熊本の被害は、東日本大震災の被災地に住む篠川内野手にとって心痛む出来事だった。

 稲垣内野手はそんな周囲の励ましも受け、昨年も都市対抗本大会に出場。本塁打を放ちながら終盤に一塁へ悪送球し、初戦逆転負けのきっかけになった。篠川内野手も新人だった2年前に出場したが、初戦で敗退した。「今年こそ、支えてくれている地域の方へ感謝の勝利を届けたい」。2人ともそう誓った。

 この日、2人は共に遊撃手として、7年ぶりに同じグラウンドに立った。

 プレーボール直後、稲垣内野手が初球をたたくと、ヒット性の打球が二塁ベース付近に。だが、そこに篠川内野手がいた。正面の遊直になりワンアウト。後輩の打球の傾向を知る先輩ならではの「守備位置のファインプレー」だった。

 だが、後輩もそのままでは終わらなかった。九回、稲垣内野手が右越え本塁打を放って目の前を通り過ぎる姿を、篠川内野手は「さすがだな」と見送った。

 試合は4-0でホンダ熊本が勝った。「先輩が活躍して敵ながらうれしかった。だからこそ自分も頑張ることができた」と稲垣内野手。篠川内野手は「今日は完敗。地震や大雨で被害を受けた九州を元気付けられるよう、このままドームで活躍してほしい」とエールを送った。【鈴木一也、佐野格】

最終更新:7/16(日) 21:00
毎日新聞