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UFC再上陸!9・23さいたま、サン・プルーと井上直樹に注目するわけ

7/16(日) 11:31配信

バトル・ニュース

 7月14日(金)、東京ドームシティホテルでおこなわれた、9・23「UFCファイトナイトジャパン」さいたま大会に向けた記者会見。登壇した選手は、メインでマウリシオ・“ショーグン”・フア(ブラジル)と対戦するオヴィンス・サン・プルー(米国)と、井上直樹(空手道白新心会)の2人だった。(写真・文/フリーライター安西伸一)

 まず最初に会見に応じたのはサン・プルー。彼はハイチ人の両親のもと、フロリダ州で生まれている。
 プロファイターとしての戦績は20勝10敗だが、日本の格闘技ファンにとって特筆すべき勝利は2014年1月、ブラジルで行われた「UFCファイトナイト」で、マウリシオ・“ショーグン”に左フックからのパウンドで1RKO勝ちしていること。
 “ショーグン”は2005年8月にPRIDEミドル級グランプリで優勝した、日本の総合格闘技ファンにはなじみの深い選手で、元UFCライトヘビー級王者でもある。来たるさいたま大会でサン・プルーは、この“ショーグン”の『リベンジを懸けた勝負』を受けるというわけだ。

 取材陣の前に姿を現したサン・プルーは、椅子に座ると質問によどみなく答えて行く。実に落ち着いていて、おだやかで、余裕を感じさせた。

「“ショーグン”とは彼の母国のブラジルでも闘った。彼は2006年でさいたまに出て以来の日本だよね。僕にはプレッシャーはない。“ショーグン”にとっては日本もホームグラウンド。(だから、負けられないという)プレッシャーは彼の方が大きいんじゃないか」

 サン・プルーからは、全く気負いが感じられなかった。記者団の質問には、何を聞かれても余裕で受け答えしていた。
 ところがそんな彼が唯一険しい顔になり、声色さえ変わって答えた質問があった。

「あなたは多くの試合で勝ってきましたが近年、連敗したことがあったはずです。そういう時は不安でしたか。そしてその不安を、どうやって克服したのですか?」

 私がそう聞くと、少し小さな声で、彼は答えた。

「MMAの“美”は多くの人が負けてきたことです。負けは一部。過去のことは考えないようにしています。でもそれが、強いファイターになるために自分を磨き直す、見つめ直すいい機会になると思います」

 サン・プルーは“ショーグン”に勝った後、勝って負けて勝って、そのあと3連敗し、今年4月に1年2カ月ぶりの勝利を挙げたばかりだった。これまでの戦績では2つ続けて負けたことはあっても、3連敗は初めてだったのだ。
 現在34歳のサン・プルー。悩むこともあっただろうが、それを乗り越えて白星をつかみ、彼は日本の記者会見にやってきた。次の試合で負けたら「過去のことは考えないようにしている」彼であっても、やはりへこむだろう。サン・プルーにとっても、キャリアを積み上げてきた35歳の“ショーグン”にとっても、次は負けてはいけない大事な一戦だ。

 “ショーグン”は2015年、16年、17年と、このところ1年に1回のペースで試合をしており、3連勝している。でも2014年に1RKO負けした時と“同じ相手”のサン・プルーに、続けて負けるわけにはいかない。
 ファイターにとって負けていい試合などあるはずないが、負けても前に進める試合と、負けると大きく後退する試合がある。両者にとって今後のキャリアを左右する、剣が峰の一戦が、9・23さいたまのメインイベントになる。


 かたや井上直樹は、さる6月17日に開催されたシンガポールでの「UFCファイトナイト」でUFCデビューを果たした時に見せた、堂々とした闘いぶりとは真逆で、報道陣の前に一人で現れ、受け答えを始めると、メチャクチャ固くなっているのがわかった。

 初々しい20歳の一人の若者の姿が、そこにはあった。

 シンガポールでは同じく20歳のジョン・デ・トーマスに判定で圧勝しているが、この試合を映像で見る限り、井上はボクシングテクニックを相当磨きこんでいる。1Rに見せたヘッドスリップは見事で、両腕のガードも高くあげているし、得意なものはジャブだというから、パンチの打ち合いには自信があるはずだ。
 でも両腕をしっかりあげて顔面のガードを重視していると、相手の低いタックルを簡単に許しがちになるので、そこが総合格闘技の難しい所。この試合でも低いタックルを決めらられていたが、グラウンドですぐに良いポジションを奪取していたから、井上は本当に大したものだ。

 56キロのフライ級ながら172センチという長身も武器に持つ井上。日本人離れした長い足で、相手の胴体を4の字ロックで楽々フックできる強みもある。

 井上の対戦相手はフィリピンのジェネル・ラウザとなった。この若武者を今オクタゴンで見ておく価値は、総合格闘技ファンなら十分にあるはずだ。