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声掛け合えば不安軽減 車いすで新幹線 同行ルポ

7/16(日) 5:00配信

北日本新聞

 2020年の東京五輪・パラリンピック開催や超高齢化社会の進展に向け、設備のバリアフリーだけでなく、障害者を理解して手助けする「心のバリアフリー」が求められている。車いす利用者は、外出時に何を不便に思い、どのようなサポートを求めているのだろうか。現状を知るところから始めようと、県内の障害のある人とない人が一緒に北陸新幹線で出掛ける小旅行に同行した。 (社会部・荒木佑子)

 同行したのはJR新高岡-富山駅間を往復する半日旅行。6月末にあり、車いすの4人を含め13人が参加した。

 企画したのは、脳性まひの人らの交流会を行う活動「歩む会Andante」を展開する社会福祉士の坪田佳奈さん(26)=高岡市中曽根。自身も脳性まひと診断され、車いすでの移動が多い。「障害者と健常者の間には、まだまだ壁がある。壁をなくすには障害者が外に出て、いろいろな人と交流することが大事」と小旅行の狙いを説明する。

 午後1時、新高岡駅に集合。まずは切符の購入だ。「何も見えん」。券売機の前で坪田さんが声を上げた。車いすからだと、液晶画面に照明の光が反射しタッチパネルが見えないという。かがんでみると、確かに見えない。参加者が操作を手助けした。

 「飲み物の自動販売機でボタンに手が届かないこともある。困っているな、と気付いたら、声を掛けてくれると、ありがたい」と坪田さん。

 事前に介助を頼んでいたため、改札からは新田晃一駅長の案内でホームへ向かった。エレベーターに乗り込むと、車いすの人が「『開延長』ボタンがないね」とポツリ。閉まる扉に挟まれないよう、周りの人の配慮が必要だ。

 新幹線がホームに到着。新田駅長が車両とホームの間にスロープを架け、車いすの人が介助を受けて乗り込んだ。

 同駅構内の線路はカーブしているため、車両はホーム側に傾いて停車する。車いす利用者にとっては、乗り込むと車いすが低い方へ動いていくため、少し怖いほどだそう。初めて新幹線に乗った車いすの宮腰健太さん(20)=射水市大門=は、笑顔を見せながらも「体が持っていかれそう」と口にした。

 車いす対応座席は、指定席車両の7号車とグリーン車にあるが、自由席にはない。今回は乗車時間が9分間で、座席に移っている時間もないため、デッキで過ごした。

 富山駅前ではマリエとやまで、お茶を楽しんだ。喫茶店までの移動も、段差やエレベーターの有無、通路の幅など、いろいろな環境によって行動が制約され、想像以上に時間が掛かることが分かった。

 ただ、新幹線にしろ、店舗にしろ、設備面で不便な点があっても、周りの人の理解ある対応が不安やストレスの軽減につながるようだ。介護職の川越聡美さん(47)=高岡市福岡町=は、車いすに乗る長男の亮輔さん(19)と新幹線に乗車するのは初めてだったが「駅員さんが親切で気持ち良かった」とほほ笑んだ。

 全行程を終え、移動などの手助けをした会社員の前田光繁さん(36)=同市辻=は「視線の高さが違うので、言われないと分からないこともあった。声を掛け合うことが大事だと思った」と話す。

 坪田さんは、障害のある人も努力が不可欠という。「障害者だけが特別ではない。『やってもらって当たり前』と思わず、マナーを守り自分から声を出していく必要がある」と話した。

北日本新聞社

最終更新:7/16(日) 5:00
北日本新聞