ここから本文です

横綱初挑戦の宇良、白鵬に裏返されて「ごっちゃんです」/名古屋場所

7/17(月) 7:00配信

サンケイスポーツ

 大相撲名古屋場所中日(16日、愛知県体育館、観衆=7580)横綱初挑戦となった東前頭4枚目、小兵の宇良(25)は白鵬(32)の豪快なすくい投げで土俵へたたきつけれ、5勝3敗となった。白鵬は8連勝で勝ち越した。平幕碧山(31)が初黒星を喫したため、白鵬が単独トップに立ち、元横綱千代の富士の持つ史上2位の通算1045勝にあと1勝とした。勝ちっ放しの白鵬を、1敗で新大関高安(27)と碧山が追う。

 絶望的な瞬間ではない。むしろ、抵抗の果ての結末だ。137キロの宇良の体が、横綱の右からの強烈なすくい投げに根こそぎ持っていかれた。大きな弧を描きながら、裏返しになって土俵へたたきつけられた。大銀杏(おおいちょう)には土俵の砂がべったり。左の鼻腔からは、一筋の鮮血が滴り落ちた。

 「バシッと受け止められて宙に舞って。頭から落ちて、なんか…。横綱はとても強かった」

 白鵬の変則的な立ち合いにもついていった。横綱は宇良の顔面に右手を差し出し、すぐに体を左へ開いた。懐へ潜ろうとする宇良と突っ張り合いに。足を取ろうと、さらに姿勢を低くした宇良が先に右を差し、下手を取って食い下がる。寄って出るところを体を入れ替えられて投げ捨てられたが、最後までまわしを許さなかった。

 番付上位に休場者が相次ぎ、横綱初挑戦が通算38度の優勝を誇る白鵬との対戦となったが、「思ったより、思い切って相撲を取れた。もっと強くなりたい」。その白鵬は支度部屋での開口一番、「宇良を裏返しにした」。してやったりの表情を浮かべ「体が柔らかい。いいものを持っている」とも付け加えた。それを伝え聞いた宇良は悪びれず「ごっちゃんです」。実感は残った。

 平成以降、横綱初挑戦で金星を挙げたのは12人いるが、宇良が勝っていれば最軽量の快挙になるところだった。だが、悲観することはない。室町時代に成立した御伽草子(おとぎぞうし)に伝わる「一寸法師」は鬼に飲み込まれながら、針の刀をおなかへ刺して小ささを生かして何度も鬼の目から逃げ出した。そのうち鬼が恐ろしがって打出の小づちを置いて逃げてしまう。宇良の物語も、ここからが始まりだ。