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勢いがあるのはどっち? 三軒茶屋VS. 下北沢

7/17(月) 8:18配信

ITmedia ビジネスオンライン

 三軒茶屋駅と下北沢駅は双方とも同じ世田谷区にあり、この2つの駅は茶沢通りをまっすぐ歩くと約30分ほどで到着する距離にある。三軒茶屋駅は東急田園都市線と世田谷線、下北沢駅は京王井の頭線と小田急小田原線と、両駅の路線はかぶっていないが、どちらも個性的な街として人気がある。いまの街の勢いとしてはどちらに分があるだろうか? 比較をしてみた。

【対決! ライバル駅】

●三軒茶屋駅周辺は下町的雰囲気がスパイスに

 三軒茶屋駅は、駅前に玉川通りが走っていて、西友やまいばすけっとといったスーパーが目に入る。また、キャロットタワーというシンボルタワーがあり、この中には東急ストアやTSUTAYAといった商業施設だけでなく、文化施設「世田谷パブリックシアター」や行政窓口もあるので、駅周りで生活に必要なことを済ませられる。駅周辺は洗練されつつも、路地に行くと下町的な雰囲気もあり、駅から少し歩くと、すぐに住宅街が広がる。

 同じ田園都市線沿線にある、子育て世代に人気の二子玉川駅とともに東急的な「上品な大人の、おしゃれな街」のイメージが強い。それを物語るかのように、大通りを一歩入ると、おしゃれなカフェや、こじんまりとして落ち着きのあるバーなどの飲食店が多く、著名人に人気の街、というのも納得できる。

●夢をもった若者が集う街、下北沢駅

 下北沢駅と聞いてまず思い浮かぶのは、若者が多く、ごちゃごちゃとした街並みだろうか。確かにその一面もあるが、下北沢駅から西のほうに行った代田エリアは、世田谷でも屈指の高級住宅街である。しかしながら、昔から映画や漫画の舞台として取り上げられている“下北”のイメージからだろうか、今でも駅を一歩出ると若者の数がとても多い。

 有名な本多劇場やザ・スズナリなどの劇場や、ライブハウスが多く、街を歩くと劇団員やバンドマンを見かけることの多いこの街は、近くに明治大学や東京大学などもあり、学生も下北沢に遊びにくる機会が多いのだろう。さらに個性的な服を取り扱う古着屋や雑貨屋、おしゃれなカフェなどが多く、買い物をするにも下北沢は学生に人気な街なのである。

 家賃相場を見ると、単身者向けワンルームマンションの家賃相場は下北沢で8.4万円。三軒茶屋は同じ条件で9.2万円(どちらも2017年、ホームズ調べ)。距離は近い両駅だが、若干、下北沢のほうが価格が下がるので、単身者にとって魅力的な街だ。

 また、下北沢駅周辺には、三軒茶屋駅のキャロットタワーのような、大きな複合型の商業施設などはなく、地元密着の商店街が強い街だ。駅周囲には下北沢一番街など6つの商店街が広がっている。また、大通りもなく、狭い路地はいつも若者でにぎわっている、という印象だ。

●交通面では新宿、渋谷に行ける下北沢がやや有利か

 三軒茶屋と下北沢の、それぞれの交通網上の優位性はどうだろうか。まず三軒茶屋駅は、東急田園都市線の急行停車駅である一方、東急世田谷線の始発駅でもある。

 世田谷線は、京王線の下高井戸に向かう路面電車規格の電車である。世田谷線への乗り換えスポットとしても、三軒茶屋駅は機能している。京王線の他にも、世田谷線の山下駅から、小田急小田原線の豪徳寺駅へも乗り換えることが可能だ。

 田園都市線は、渋谷から東京メトロ半蔵門線に乗り入れ、さらに押上駅から東武線に乗り入れる。表参道駅では東京メトロ銀座線に同一ホーム上で乗りかえることができ、銀座線は虎ノ門駅や新橋駅、三越前駅、上野駅、浅草駅へと向かう。

 半蔵門線は、永田町駅、神保町駅、大手町駅を経由する。この2つの路線で、都内の大多数の部分を確保できてしまうのだ。なお、三軒茶屋駅からは、田園都市線に並行して渋谷駅に向かうバスも多く発車している。

 一方、下北沢駅は、小田急小田原線と京王井の頭線が交わる場所にある。京王井の頭線は、吉祥寺駅と渋谷駅を結んでおり、どこにも乗り入れていない。ただ渋谷駅では、JR山手線、東急田園都市線、東横線、東京メトロ副都心線、半蔵門線、銀座線と乗り換えることができる。

 小田急小田原線は、新宿駅へ向かう電車と、代々木上原駅から東京メトロ千代田線に乗り入れる電車がある。こちらは赤坂駅や国会議事堂前駅、霞ケ関駅、大手町駅などへ向かうことができる。乗り入れの利便性もさることながら、新宿駅へ乗り換えなしでアクセスできることは大きい。

 そして小田急線では、下北沢駅は快速急行や急行も停車する。このことが、下北沢駅の利便性をさらに高めている。小田急小田原線と京王井の頭線の2つの路線があることで、渋谷駅と新宿駅という、東京でも有数のターミナル駅に乗り換えせずにアクセスすることが可能だ。ちなみに、この三軒茶屋駅と下北沢駅を結ぶバスもある。駒沢陸橋から三軒茶屋駅を経由し、下北沢駅近くにある北沢タウンホールを結ぶ小田急バスの路線は、おおよそ12分に1本程度ある。

●将来的な「暮らし」を重視するなら三軒茶屋か

 下北沢駅の乗降人員数は小田急線が11.4万人、京王線が11.4万人と、合わせて22.8万人(2015年度)。一方、三軒茶屋駅は田園都市線が13.2万人(2015年度)、もう一路線の世田谷線は駅ごとではなく、世田谷線全駅合わせての乗降人員数のみ発表されているので、三軒茶屋駅の乗降人員数に含めることができない。しかし、世田谷線の乗降人員数は、全駅合わせても約11 万人(2015年度)なので、乗降人員数は下北沢駅が多いと推測される。

 「独身文化の街」下北沢と「生活の街」三軒茶屋。さて、どちらに住むか――。

 下北沢駅は先ほど述べたように、乗り換えることなく渋谷駅、新宿駅へ向かうことができる。しかし、下北沢駅地下化の問題がある。2013年に小田急小田原線の代々木上原駅~梅ヶ丘駅間の地下化が完成し、これにより「開かずの踏切」であった駅近隣の踏切が撤去され、踏切待ちの交通渋滞が解消された。またエレベーターが新設されたことで小田急線の全駅で係員の介助なく改札口からホームまで段差なく利用できるようになった。このようにメリットを聞くと問題があるようには思えないが、反対の声も多数挙がっている。

 地上駅である京王井の頭線への乗り換えが5分以上かかり、通勤など1分1秒を争う利用者にとって大変不便になった。また、下北沢駅周辺の再開発の見直しを求める運動団体「Save the下北沢」が発足するなど、駅地下化、さらに駅前再開発によって「シモキタらしさ」が失われてきたのも事実である。

 「借りて住みたい街ランキング」(ホームズ)で2017年度は2位という快挙を見せた三軒茶屋に対し、下北沢は昨年度の14位に対し、2017年度は20位圏外となってしまった。それでも、今も若者が夢を持って集う「青春の街」下北沢の返り咲きに期待したい。

 三軒茶屋駅は都心へ向かう路線は東急田園都市線のみだが、地下鉄と相互乗り入れをしていることで利便性を高めている。渋谷へは電車一本、4分で着いてしまうという利便性を持ちながらも、少し歩くと世田谷公園という広大な公園があり、比較的静かな「大人の街」である三軒茶屋駅は、将来を見すえた「暮らし」を重視するには、魅力的な街であると言える。