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サイバー対策待ったなし=攻撃進化、狙われる開会式―東京五輪

7/17(月) 10:07配信

時事通信

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、サイバーセキュリティー対策が喫緊の課題となっている。

 世界が注目する五輪はハッカー集団の格好の標的で、万一被害が出れば国の威信にも関わる。サイバーテロというえたいの知れない「敵」にどう対処するか、政府の姿勢が問われている。

 「対策に『やり過ぎ』という文字はない」。政府関係者は今年5月に世界規模で拡大したサイバー攻撃を念頭にこう気を引き締める。攻撃をめぐり北朝鮮犯行説も飛び交ったが、真相はやぶの中だ。

 五輪では12年のロンドン大会開会式に電力システムが狙われ、大会期間中、約2億件のサイバー攻撃が発生した。大事には至らなかったが、サイバーディフェンス研究所の名和利男上級分析官は「攻撃は日々進化している。ロンドンでの対処が通用しないものも多い」と警鐘を鳴らす。

 新国立競技場で五輪開会式が挙行されるのは20年7月24日。サイバー攻撃による停電で真っ暗となった競技場が全世界へテレビ中継されるという最悪の事態が起こらないとは限らない。

 実際、日本へのサイバー攻撃は年々増加している。情報通信研究機構(NICT)によると、16年のサイバー攻撃関連の通信は前年比2.4倍の約1281億件に上る。

 ◇本格稼働は五輪直前
 英国はロンドン大会の6年前からサイバー攻撃対策の準備に入っていたが、日本政府の対応は遅れているとの見方がもっぱらだ。しびれを切らした自民党の「サイバーセキュリティ対策推進議員連盟」は5月23日、安倍晋三首相に提言書を手渡し、司令塔組織の速やかな設置を求めた。

 ただ、政府はサイバー対策を担う「対処調整センター」の本格稼働時期について、東京大会開幕の約1カ月前を想定している。専門家からは「急ごしらえの組織が緊急事態に対処できるとは思えない」と厳しい声も上がる。

 人材育成も急務だ。提言は大会に向け、最低10人の指揮官、200人の高度技術者が必要としているが、「圧倒的に不足している」のが現状という。

 本番まで3年。不安を募らせる議連メンバーの一人はこう指摘する。「大惨事が起こってからじゃ遅い」。 

最終更新:7/17(月) 10:09
時事通信