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五輪レガシー、教訓残す長野スパイラル=維持費かさみ休止決定

7/17(月) 10:12配信

時事通信

 1998年長野冬季五輪でボブスレー・リュージュ会場となった「スパイラル」。

 長野市は多額の維持管理費や利用者数の少なさから、平昌五輪後の来年度以降は製氷を休止、競技場として利用しない方針を決めた。老朽化や人口減少を背景に公共施設の運営見直しを迫られる市の姿は、2020年東京五輪・パラリンピックにも教訓を残す。

 「20年間、地元の協力を得ながら運営してきた。休止は断腸の思い」。方針決定に際し加藤久雄市長は4月、こう語った。施設存廃の検討段階では、周辺住民や競技団体から運営継続の要望も出ていた。

 老朽箇所の改修を含む維持管理費は年間約2億2000万円。市の試算では、来年度以降も継続した場合、市の負担額は10年間で最大約31億2000万円。冷凍設備の更新も必要になる。

 また、国内のそり競技人口は約150人。スパイラルの15年度の利用者数は、見学者を含めても約6300人にとどまった。市内にある他の長野五輪施設5カ所の利用者数は年間約13万~44万人で突出して少ない。14年度の市の外部監査は「市民に利用されていない施設(の維持費)を市民の税金で負担することは特に考慮すべきだ」と指摘。存廃検討のきっかけとなった。

 ◇人口減に直面
 存廃検討のもう一つのきっかけは、市が15年7月にまとめた「公共施設マネジメント指針」。20年間で公共施設の延べ床面積を2割減らす目標を掲げている。市の人口は、長野五輪後の2000年の約38万7900人をピークに減少傾向にあり、高齢化も進行。財政運営が厳しくなる中、老朽化が進む市内の公共施設をこのまま維持するのは困難なためだ。

 指針は、市施設の人口1人当たりの延べ床面積が全国平均の約1.25倍もある一方、40年の人口が10年比で約2割減少するとの予測も提示。延べ床面積の約1割を占める五輪施設の扱いは別途検討するとしたが、スパイラルについては「平昌五輪後の在り方を早急に検討する」と言及していた。

 一橋大学大学院社会学研究科の尾崎正峰教授(スポーツ政策)は「日本が人口減少社会に入る中で開催する20年東京五輪は、これまでの五輪の大会運営と同じようにはできない。費用の面でコンパクトな五輪にする必要がある」と話している。

 ▽スパイラルとは
 長野市が運営する国内唯一のそり競技施設。正式名称は「長野市ボブスレー・リュージュパーク」。1998年長野冬季五輪でボブスレー・リュージュ会場となった。JR長野駅から車で約30分の山林に位置し、敷地面積は約18万平方メートル。総延長約1700メートルのコースを持つ。総事業費約101億円で96年に完成。年間の維持管理費は約2億2000万円。ナショナルトレーニングセンターに指定され、約1億円の委託料収入があるが、残りは市が負担している。 

最終更新:7/17(月) 10:15
時事通信