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「海猿」育成、学生増え新課程も 京都、海保学校65年

7/17(月) 20:00配信

京都新聞

 海上保安官を養成する海上保安学校が、京都府舞鶴市長浜に開設されて65年余りになる。中国が侵入を繰り返す沖縄県・尖閣諸島周辺の海上警備や大規模災害時の対応など海上保安官の役割が重要になる中、同校も学生数の増加や新課程の開設など時代に合わせた動きを見せる。
 校内の25メートルプールでは、学生の集団が平泳ぎで何周も泳ぎ続けていた。宮津市沖で7月下旬にある遠泳訓練に向けた練習。当日は約5・5キロを泳ぐ。京都市左京区出身の情報システム課程1年若松駿さん(18)は「人の役に立つ仕事がしたいと思い入学を決めた。仲間同士で声を掛け合い、一丸になって取り組んでいる」と話す。
 同校は、関東にあった海上保安庁の3カ所の教育機関が統合し、1951年に舞鶴市に開設された。舞鶴湾に面した敷地約10ヘクタールに校舎や学生寮、天文台などの施設が立ち、巡視船が接岸できる独自の岸壁も備える。船舶運航システムや海洋科学など4課程があり、海上保安官の約7割が同校を卒業している。
 学生らは入学後1、2年間、国家公務員として給与を受けながら、法律や英語のほか、カッターボートの操舵(そうだ)や逮捕術などを学ぶ。全寮制で10人前後が1部屋で生活。普段は午前6時半に起床し、午後8~10時は自習などスケジュールに従う。学生からは「先輩や同期と一緒にいられる時間が長いのがいい」との声が聞かれ、学生同士の結束を強める。
 現在は18~25歳の男女550人が在籍。同校によると、海上保安官が活躍する映画「海猿」などメディアでの露出が増え、志望者は増加傾向にある。採用枠も広げており、入学者は2011年度が381人だったのに対し、16年度は601人と約1・5倍に増えた。尖閣諸島などの領海警備の強化が背景にあり、今後数年は現在のペースで採用を続ける予定だ。
 また現場では、大規模災害時の船舶の避難対応や海上交通の過密化など管制業務が高度化、複雑化し、専門性の高い人材養成をする体制づくりが課題になっている。保安学校には18年度から、海の交通整理を担う運用管制官を育てる「管制課程」が新設される。新課程の設置は16年ぶりだ。
 近藤悦広学校長は「周辺国の活動が活発化し、海洋権益の保全に海上保安庁全体が力を入れる中、人材育成はますます重要になる。勇気があり団結して業務を遂行できる海上保安官を育てたい」と話す。

最終更新:7/17(月) 20:00
京都新聞