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体制御できずに世界新達成? 平泳ぎ渡辺、記録更新狙う

7/17(月) 21:25配信

朝日新聞デジタル

 自らの世界記録は、越えなければならない壁となった。競泳男子200メートル平泳ぎの世界記録保持者、渡辺一平(20)=早大3年=が記録更新を狙って世界選手権(ブダペスト)に臨む。競泳は23日に始まる。昨夏のリオデジャネイロ五輪で6位に終わった悔しさ、世界一への期待と重圧を「夢の舞台」で力に変える。

【写真】世界選手権に向けて練習する渡辺一平=増田啓佑撮影

 体の制御が利かなくなった――。1月の東京都選手権の、2分6秒67の世界新記録を打ち立てたレース。渡辺は不思議な感覚で泳いでいた。前半は抑えて入るつもりだったが、「心では止めようと思っているのに自分の体から前に前に、さっさと飛ばせ、もっと上げろって言われて体が動いちゃった感じで」。50メートルで世界記録を上回ると、勢いそのままに、これまでの2分7秒01を0秒34更新した。

 五輪での悔しさが体を突き動かした。リオでは準決勝を2分7秒22の五輪新記録で泳ぎ、1位で決勝へ。「今までの人生で一番完璧なレースだった」。だが決勝は6位に沈み、泣いた。

 帰国後、「水に入りたくない」くらい悔やんだ。「悔しかったから、世界新記録を出していろんな人を見返してやる」。秋に初めて本気で世界記録を意識した。自己ベストとは0秒21差。弱点だった足の筋力強化も始め、わずか数カ月で記録を塗り替えた。

 これからは自身のタイムとの闘いになる。4月の日本選手権は今までなかった世界記録の更新という重圧の中で、2位に終わった。

 前世界記録保持者の山口観弘は、一度出した記録を更新する難しさを知る。注目を浴び続けた山口は、日本選手権で渡辺の立場について質問されると「できればそっとしてあげてほしい」と思いやった。だが、渡辺がメディアに取りあげられる回数は格段に増え、周りから受ける影響は一変した。それでも、渡辺は「プレッシャーをかけられた時に結果を出せるのが北島(康介)さん。憧れてきたからこそ、そういう選手になりたい。プレッシャーをかけるなと思ったら、なれないのと一緒」。世界記録を更新し続けた、目標とする人の背中を追う。

朝日新聞社