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祝・「キャプテン翼」通算100巻 「こち亀」目指せば、翼がFIFA会長に?

7/17(月) 13:09配信

産経新聞

 【漫画家・高橋陽一さん大いに語る】

 今から36年前、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1人の人気キャラクターが誕生した。主人公の名は「大空翼」。当時まだマイナースポーツ扱いだったサッカーの国内人気を牽引(けんいん)した。この漫画を読んで育った世界の一流選手も、今や数え切れない。そんな「キャプテン翼」の単行本が、6月に通算100巻の節目を迎えた。「『キャプテン翼』は僕のライフワーク」と語る作者である漫画家、高橋陽一さん(56)に、話を聞いた。(聞き手 文化部 本間英士)

■もしかしたら野球漫画に?

 --6月発売の「キャプテン翼 ライジングサン」(青年漫画誌「グランドジャンプ」で連載中)第6巻で、通算100巻の節目を記録した

 「素直にうれしいのと、よくここまで描けたな、という思いです。もちろん、連載が始まった当初はこんなに長く続くとは思っていませんでした」

 「『キャプテン翼』が始まったのは1981年です。当時はJリーグ発足前で、サッカーはまだマイナースポーツ扱いでした。僕自身も野球に親しんで育ちましたが、いろいろなスポーツの試合を見るのは好きでして。78年のワールドカップ(W杯)アルゼンチン大会をテレビで視聴してからは、サッカーの魅力に取りつかれてしまいました」

 --「キャプテン翼」スタートの経緯は

 「僕が漫画家になろうと決めたのは高校生のときです。高3の夏に出版社に持ち込みをして、担当編集者がついたのですが、当時はサッカーと野球の漫画を交互に賞に応募しており、結果的にサッカーのほうでデビューしました。『キャプテン翼』は、もしかしたら、同じタイトルの野球漫画になっていたかもしれません」

 --2人でボールを蹴ることで威力が増す「ツインシュート」など、個性豊かな技の数々は多くの子供たちを魅了。一方で、当時はまだスポ根漫画全盛時代。「ボールは友だち」「サッカーを楽しもう」と語る翼のような主人公は珍しかった

 「もともとスポーツは楽しいもので、決して無理やりやらせるものではないと思います。『楽しさ』という本質を描きたいと思っていました」

 --翼に憧れてサッカーを始めた子供たちも多かった

 「当時の日本はまだプロリーグすらない時代。もっと日本にサッカーが根付いてほしいと思い、漫画を描いていました。現在はW杯出場が当たり前の時代になっていますが、それだけ日本サッカーや、Jリーグが成長した証だと思っています」

■僕は何より漫画が好き

 --好きなキャラクターは

 「今、漫画で取り上げているキャラが好きですね。描きやすいのは努力型タイプの『石崎了』です。翼と対比しやすいし、裏の主人公だと思っています。たとえ才能がなくても、努力すれば夢はかなうというメッセージを込めたいと思っています」

 --連載開始から36年。「キャプテン翼」を描き続けるうえで、難しかった時期はあったか

 「もちろん、描き続けるうえで煮詰まることはありました。(掲載紙が)週刊少年ジャンプなので、(同誌独自の)読者の人気(アンケートの順位)が落ちるのがつらかったですね」

 「ただ、しんどかったり、アイデアが出なかったときも、よく寝てリフレッシュして、サッカーの試合を見ればまた描きたくなってくる。僕はサッカーが好きですし、何より漫画を描くのが好きなんですよ。キャラクターたちが年月がたっても、読者に愛され続けているのも、描き続けられる理由の一つだと思います」

 --これまでの累計発行部数は7千万部以上。アニメとの相乗効果により海外のファンも多い。

 「スペインのリーガ・エスパニョーラやイタリアのセリエAの選手が子供のころに、『キャプテン翼』のキャラクターのマネをしたとか、アニメを楽しみにしていたと言ってくれるのは本当にうれしいですね」

 《「キャプテン翼」から強い影響を受けたとこれまで公言している人には、中田英寿や川口能活、中村俊輔選手、海外ではアルゼンチン代表のFWメッシや元イタリア代表のガットゥーゾら、その影響は世界の一流選手にまで及ぶ》

■これが翼を加えたドリームチームだ!

 --高橋先生の好きな歴代の名プレーヤーに、翼を加えた「ドリームチーム」を作るとすれば

 「その時代時代で全然違ってくるので、一概に言うのは難しいですね。ただ、好きな選手を挙げるとするなら、こんな感じです。

 【GK】ブッフォン(イタリア)

 【DF】バレージ(イタリア)、ロベルト・カルロス(ブラジル)、プジョル(スペイン)、ファン・ブロンクホルスト(オランダ)

 【MF】ネドベド(チェコ)、マラドーナ(アルゼンチン)、ジダン(フランス)、大空翼(日本)

 【FW】メッシ(アルゼンチン)、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)

 FCバルセロナのファンなので、バルセロナの選手がやや多いです。GKだったらノイアー(ドイツ)もいいし、MFだったらジーコ(ブラジル)とか、たくさん好きな選手がいるんですよ。これは難しい…」

 《翼は世界最高峰クラブの1つ「FCバルセロナ」に入団。「ライジングサン」で、翼は日本代表U-23の主将に就任し、相棒の岬太郎や“守護神”の若林源三らおなじみのメンバーとともに、五輪での金メダル獲得を目指す》

 --今後の目標は

 「まずは、今やっている『五輪編』をいい形で終わらせること。いずれはやはり、日本のW杯優勝を描きたいと思っています」

 「ただ、W杯は4年に1回なので、複数描くこともできますし、その後はひょっとすると、翼の『監督編』や、『FIFA(国際サッカー連盟)会長編』もあるかもしれませんね」

 《高橋さんは東京都葛飾区の出身。葛飾つながりの「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は200巻。ちょうど半分の「翼」だ。FIFA会長まで務めるとなれば、「こち亀」に並ぶのも夢ではない。そんな翼の活躍する姿も読んでみたいものだ》

 ■キャプテン翼 1981~88年、「週刊少年ジャンプ」で連載された少年漫画。静岡・南葛小に引っ越してきた主人公、大空翼が仲間との友情を深めつつ、個性豊かなライバルたちとの対戦を経て成長していく物語。小中学校での活躍を描いた「キャプテン翼」(全37巻)の終了後、「ワールドユース編」(全18巻)、「Road to 2002」(全15巻)などが連載された。

 7月18日~10月15日に東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される「週刊少年ジャンプ展」では、貴重な原画などが展示される。

最終更新:7/18(火) 10:00
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