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(朝鮮日報日本語版) 【社説】荒唐無稽な主張で原子力に対する恐怖心をあおるキム・イクチュン教授

7/17(月) 10:46配信

朝鮮日報日本語版

 「大統領選挙で文在寅(ムン・ジェイン)候補陣営に加わって脱原発公約を作った」と主張するキム・イクチュン東国大学医学部教授(微生物学)は先週、高校生の前で「脱核講義」(反核講義)をしたが、この講義内容は荒唐無稽(むけい)としか言いようがないものだ。同教授は「(2011年の福島原発事故で)日本の領土の70%が汚染された。日本では白内障・狭心症・脳出血・肺がんなどが事故前に比べて200%-300%と増加した」と言った。また、「11年以降の4年間で、日本では通常よりも死亡者数が60万人増えた。放射能のせいだということを立証したい」「今後300年間はすべての日本産食品や北太平洋産水産物を食べてはならない。今夜遺言書を作り、今後10世代にわたり(食べてはならないと)伝えなければならない」とも言った。キム・イクチュン教授は09年から全国各地を回り、1200回もこうした反核講義をし、原子力安全委員会委員になり、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が見た昨年公開の原発災害映画『パンドラ』総括諮問を務めたという。

 キム・イクチュン教授のほかの講義録には、「日本人のうち100万人以上ががん・奇形児出産を経験するだろうという予測もある」「福島原発の圧力容器の底を突き抜けた燃料が地球の中心に向かって下がり続けている」と書いてある。だが、その一方で北朝鮮の核実験については、「放射能が検出されていない。このようにするのが正しい」と大きな問題はないかのように受け流している。

 キム・イクチュン教授の専門分野は微生物学だ。原子力エネルギーや放射能被害については研究したことがない。どこから持ち出してきたのかすら分からない数字で原子力に対する恐怖心をあおり、まき散らす人物に「脱原発」というとてつもなく大きな政策の変更を任せたことになる。

 「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)が福島原発事故について2年以上調査し、14年に提出した報告書がある。311ページにわたるこの報告書は「福島原発事故で放射線にさらされた発電所職員や一般住民のうち、放射能で死亡または重大な病気にかかった事例は発見されなかった」と結論付けた。この調査には18カ国・約80人の専門家が参加し、国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)などが支援した。同報告書は「((福島原発事故の)最も重要な健康への影響は精神的恐怖・ストレス・うつ病などだ」としている。キム・イクチュン教授の主張は一言で表現すれば「怪談」(デマ)にすぎない。狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)騒動時、長官まで務めた経験のある教授が「米国人のBSE患者65万人が認知症患者として隠ぺいされたまま死亡した」と荒唐無稽な発言をしたことが思い出される。

 文大統領は「脱原発」を宣言、「福島原発事故は地震により発生した」という趣旨で語った上で「1368人が死亡した」と言ったが、どれも事実と異なる内容だった。福島原発事故は地震ではなく、地震後の津波で発電機が浸水したために起こった事故だ。国のエネルギー政策が専門家でない人物の何の根拠もない主張に振り回されていると考えると、背筋が凍る思いだ。