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地震国にファブを持つということ

7/17(月) 19:25配信

投信1

投信1編集部により本記事の注目点

 ・ マイコンメーカーのルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングは、東日本大震災と熊本地震の2つの大震災で、製造工場が大きな被害を受けました。
 ・ 大手半導体メーカーとして、たとえ震災下でも顧客への供給責任は果たさなければならないという使命があります。
 ・ 川尻工場のケースを考慮すると、「備えあれば憂いなし」の言葉の意味を今一度かみしめる必要があるでしょう。
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東日本大震災と熊本地震の2大震災に見舞われたルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング(株)。大手半導体メーカーとして、たとえ震災下でも、顧客への供給責任は果たさなければならない。地震国である日本において、半導体ファブを持つということ。その覚悟と対策を、同社の震災経験を通じて探ってみる。そこからは当たり前の言葉である「備えあれば憂いなし」が、新たな重みを持って伝わってくる。

東日本大震災からの教訓

2011年3月11日午後2時46分、ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの本社工場である那珂工場(茨城県ひたちなか市)を地震が襲った。第1波は宮城県沖から。建屋は振動加速度にして922ガル、マグニチュード(M)9.0の衝撃を受けた。

このとき、クリーンルームに大きな損傷は見当たらなかった。第1波から30分後、今度は茨城県沖から第2波が襲った。建屋は430ガル、M7.7の追加衝撃を受けた。再度、クリーンルームを点検したとき、そこにはインフラ系で甚大な被害が起きていた。地震の揺れによる建屋損傷は、余震を含め、揺れが複合化することで、その規模を増すようである。

 1.被害状況

クリーンルームは吊り天井のため、揺れで天井が壁にぶつかり、外壁を大きく損傷した。クリーンルーム内から夜空が見える状態で、外気の侵入に伴い、クリーン機能も喪失した。電力ケーブルラックの落下、水処理・排気系など、クリーンルームおよび周辺インフラ系を中心に被害は甚大であった。

また、製造装置は11mm以上の位置ズレを起こしたものが、全体の18%に達した。完全修復に15日以上の時間が必要となった。装置に搭載する部材もダメージを受けた。縦型拡散炉に内蔵される石英管は、地震の揺れで大きく動き、破損した。

ただ、阪神淡路大震災や新潟県中越沖地震の教訓から、従業員の安全を確保できたこと、ケミカル工場とも称される半導体ファブにおいてガスや薬液の漏洩・汚染が皆無だったことは、不幸中の幸いであった。

 2.復旧に向けて

当初の復旧計画は、クリーンルームとインフラ系の修理からスタートし、その後に生産設備を修復。そして、試験生産と品質検査をクリアしたうえで、本格量産を再開するというもの。総計5カ月以上の復旧計画であった。

しかし、5カ月間以上もの生産停止では供給責任が果たせず、顧客に迷惑をかける。そこで那珂工場近くから土浦エリアに至るまでの全ビジネスホテルを借り切り、1日あたりの最大修復員数2500人を配備。1日24時間&週7日体制で取り組んだ。その結果、当初計画を3カ月前倒しする、6月初頭からの量産再開を実現させた。

 3.国内工場の耐震強化を指示

地震の国に半導体ファブを持つということは、震災の直撃を受ける可能性を覚悟すること。その覚悟の上に、顧客への供給責任が立脚する。

今後、震度6の地震発生を想定し、クリーンルームとインフラ系は7日以内、生産装置の修復は短縮し、30日以内には生産を再開し、60日以内のフル再稼働を顧客に約束した。

この約束を実行するために、同社は国内に保有する前工程ライン7工場、後工程ライン3工場に耐震強化を指示。壊れにくく、直しやすい、ファブの体質改善に向けて動いた。

まず、クリーンルームは揺れを抑制するため、制震ダンパーを有効利用して天井を補強。電力ケーブルラックには落下防止対策を施した。排気・水処理系ダクトは金具による補強を徹底させた。

生産装置の位置ズレに対しては、必ず固定すること。ストッカーに入っている仕掛りのウエハーやマスクも固定が必須である。また同時に、補強の手法が確実か否か、加振実験も行う必要がある。

同じ建屋でも、上層階はより注意しなければならない。階下で振動加速度が922ガルであっても、上層階では1400ガルに跳ね上がる。レンズのズレやステージの損傷が大敵となるリソグラフィー装置は、やはり階下に設置すべきである。

また、半導体ファブでは、ライン管理や歩留まり確保、装置故障予兆の観点から、製造管理システム(MES:Manufacturing Execution System)を導入している。プロセス処理データの収集・分析を担うサーバーは、転倒回避の視点から、これも階下に設置した方がベストである。そして、すべてに免振台を施すことを奨励した。

そのほか、ソフト面で、部材調達のマルチサプライヤー化の確立。あるいはリスクマネジメントの視点から、事前に(顧客ごとの)必要な在庫量も掌握しておく必要がある。

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最終更新:7/17(月) 19:25
投信1

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