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勤務先の経営難で「3か月」も給与未払い、我慢の限界…払わせるにはどうすれば?

7/17(月) 9:54配信

弁護士ドットコム

会社が経営難を理由に、3か月も給料が支払われないーー。こんな相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

投稿者によると、会社は全社員に対して業績悪化を理由に給与を払わないばかりか、事務所の家賃も滞納しており、強制退去になる可能性があるそうです。相談者は、会社と雇用契約書等を交わしておらず、あるのはタイムカードだけとのことです。

給与未払いが生じた場合、どうすれば払ってもらえるのでしょうか。佐藤正知弁護士に聞きました。

●未払い額が60万円以下であれば、少額訴訟の制度も有効

雇用契約書などがない場合、給与は支払ってもらえないのでしょうか。

「雇用契約書等がなくても、それまでの給料明細等があれば、給料の額を証明することができ、法的手段を講じることもできます。

給料の遅配や欠配(未払い)は、労働基準法に刑事罰も定められている犯罪行為です。労働者が、労働基準監督署に『申告』をすることにより、支払うよう会社に対し指導がされたり、悪質な場合には検察庁に刑事事件として会社が送致されたりします。

しかし、これらには、民事的な効力がないので、最終的には、労働者自らが民事的な法的手段を講じなければならないことが多いです。未払額が60万円以下であれば、1回の裁判期日で和解を目指し、和解が成立しない場合に判決が言い渡される少額訴訟を提起することも考えられます」

未払い額が多い場合はどうしたらいいでしょうか。

「もっと未払額が多い場合、労働審判を提起してもよいでしょう。また、在職していた事実や未払賃金額を確実な証拠で裏付けることができ、会社の財産も把握している場合には、訴訟や労働審判を経ずに、先取特権という権利に基づいて、いきなり会社の財産を差押えることもできます。

家賃滞納で事務所も強制退去になりそうであるとのこと。その後本当に事業を停止し事実上倒産に至ったような場合には、一定の条件のもと、独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度を利用することもできますので、労働事件を取り扱っている弁護士にご相談下さい」

【取材協力弁護士】
佐藤 正知(さとう・まさとも)弁護士
神奈川県弁護士会所属。2017年度神奈川県弁護士会副会長。労働者側の労働事件を中心に取り扱う。日本労働弁護団常任幹事。神奈川過労死対策弁護団事務局長。過労死等防止対策推進全国センター幹事。著書「会社で起きている事の7割は法律違反」(共著・朝日新聞出版)等。
事務所名:横浜法律事務所

弁護士ドットコムニュース編集部