ここから本文です

新入社員は“社内顧客”、上司は“キャバクラ店長”だと思えー過労自殺の現場から産業医が語る

7/17(月) 7:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

大きな衝撃を呼んだ、電通女性社員の事件を機に、過労自殺や働き方への関心はこれまでになく高まっている。

【画像】新入社員は“社内顧客”、上司は“キャバクラ店長”だと思え

現代日本はスマホやパソコンで脳を酷使する生活に加え、従来の封建的な家族主義とは対極にあるような自由な働き方などの新しい価値観も流れ込む、激しい変化を経験している。そんな時代に生まれる摩擦やストレスとどう向き合い、いかに働くか。このたび『産業医が見る過労自殺企業の内側』を出版し、30社以上の産業医として延べ数万人の社員を診てきた産業医の大室正志氏に聞いた。

現代人の脳はバッテリー不足

「現代人の脳は、バッテリー容量が変わらないのにアプリだけが増え続けるスマホ。慢性的な疲労に陥っています」

ずっとパソコンで作業したりスマホの画面を休みなく見つめたり、現代人はとにかく何もしない時間がない。眼は絶え間なく液晶画面を見つめており、その作業は視神経を通じて脳にダイレクトに効いてくる。

「20万年前から人間の脳の基本的な構造は変わっていません。情報量だけ膨大になったら、明らかにオーバーワークです。一定の緊張感はもちろん脳にも必要なのですが、筋トレと同じでやり過ぎるとオーバートレーンングで不具合を起こしてしまいます」

大室氏は抑うつ状態を「コップの中の水があふれた状態」と表現する。

「OA機器の使用は基本水位を上げます。ここに長時間労働や人間関係などのストレスが降ってくると、コップのふちから水があふれるように、抑うつ状態を起こしやすくなるのです」

統計をみると、1990年代後半からうつ病などのメンタル不調の患者は増加している。これはパソコンなどOA機器の普及とも重なる。うつで引き起こされる最悪の結果が自殺といえる。

大室氏は、メンタル不調の認知度が上がったことや、リストラなど産業構造の変化とともに、OA機器による脳疲労も増加に影響しているとみる。しかし、時計の針は戻らない。

「テクノロジーの進化で、ここまで画面を見なくてもいい時代が来るかもしれませんが、今の時点では、この生活はしょうがないでしょう」

では、どうすればいいのか。

1/4ページ