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女装にはまる男たち 札幌ススキノに体験バー、大学祭でコンテスト

7/17(月) 6:05配信

北海道新聞

女性が受け入れ、男らしさの呪縛弱く

 趣味で女装を楽しむ男性がいる。「女装子(じょそこ)」「男の娘(こ)」と呼ばれ、札幌では女装メークを体験できるバーも誕生した。なぜ、女装にはまるのか。

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 「女の子の格好が大好き。普段からメークの仕方も研究しています」。6月中旬、東海大札幌キャンパス(札幌市南区)の大学祭で開かれた「男女装コンテスト」。3年の堀田悠矢さん(20)は、ミニスカートの人気アニメキャラクターに扮(ふん)し、楽しそうに話した。

 コンテストで優勝した1年の佐藤悠人さん(18)は、チャイナドレスと真っ赤な口紅で登場。女装は初めてだが、ずっと憧れていたという。「すごくうれしい。心が充実した」と笑顔を見せた。

 札幌・ススキノの「7丁目のパウダールーム」(中央区南5西7)は、「女装を楽しみたい全ての方のサロンバー」として、5月下旬にオープンした。有料で女装メークを体験できる。

 同店のママ満島てる子さん(26)=女装名=は「お客さん、本当に来るのかしらと思ったけど、札幌にもこんなに『女装子』がいたのね、という印象。トランスジェンダー(生まれ持った性別に違和感を覚える人)だけでなく、一般的に広く女装が定着してきている。隠れて女装していた人が、オープンに楽しめる場が求められている」と話す。

 満島さんはゲイ(男性同性愛者)で女装歴2年。男性であることに違和感は覚えないというが、「お人形遊びが小さいころから好きで、その延長でやってみたらはまった」という。

「カワイイ」に憧れ 多様性が豊かさに

 女装は、2010年ごろから東京・秋葉原を中心にブームになり、それを後押しするように、女装のテクニックを記した指南本が数多く出版されている。

 なぜ女装が関心を集めるようになったのか。女装文化に詳しい明治大非常勤講師(性社会・文化史)の三橋順子さん(62)は、「あごのラインがすっきりし、きゃしゃな骨格の男性が増えた」「男性が眉を手入れしたり、脱毛したりすることが奇異に見られなくなった」「『カワイイ』に価値を置く若い女性のライフスタイルに男性が強い憧れを抱いている」ことなどを理由として挙げるほか、「女性が男性の女装を受け入れ、積極的に協力するようになったため」とみる。

 三橋さんは、男性として生まれながら性別に違和感を感じるトランスジェンダーで、女装者だ。趣味で女装する男性たちをどう見ているのか。「女装を楽しむ人が顕在化してきたことはとても良いこと。ファッションは基本的に自由であり、コスチューム・プレイとして楽しめばいい」。そしてこうも語る。「世の中にはいろいろな人がいていい。多様性が豊かさをもたらす」。青山さんは「女装子は近未来の理想的で平和な世界を先取りしている姿」と力を込める。

 北大大学院文学研究科の瀬名波栄潤(せなはえいじゅん)教授(ジェンダー・セクシュアリティ論)は、札幌市が導入した性的少数者(LGBT)カップルを公的に認証する「パートナーシップ宣誓制度」に触れ、「北海道は伝統的な文化にとらわれない自由な空気が似合う。『かわいい』『かっこいい』に引かれる若者文化を中心にジェンダーの呪縛が少なくなっており、異性装という言葉自体が将来死語になるかもしれない」と話している。(報道センター 成田智加)

北海道新聞

最終更新:7/17(月) 6:05
北海道新聞