ここから本文です

《高校野球群馬大会・白球の詩》ムード高め「奇跡を」 利根実・岩瀬雄大内野手

7/17(月) 6:01配信

上毛新聞

 初回、高校通算71本目(練習試合を含む)という本塁打をスタンドに運んだ3番打者がチームを勢いづけた。2死走者なしからの先制アーチは「振り抜いて、完璧に打てた」。応援席から「もう一発頼むぞ」の声が飛ぶ中、七回の得点機に相手バッテリーが選択したのは四球。強打者の証しを得た。

◎先制弾で存在感示す

 利根実は今年、守備、打撃、あいさつ、掃除など、各選手が責任を持って役割を分担する「リーダー制」を導入した。その打撃リーダーを務める。三回、自身は凡退したが、その後に広がった好機にタイムを取った。打者、走者を集めて「振り抜いていこう。気合入れて」と声を掛けた。

 2年時から主軸を任されてきた。大きな期待が寄せられる半面、重圧に苦しんで不調に陥ったこともある。乗り越えるため冬場は打撃練習に専念し、こなした素振りは6万回。飛距離が出にくいバットを使い、ボールを芯で捉える練習を重ね、誰よりも多く振ってきた。

 だが、春の大会は初戦敗退。ふがいなさを感じ落胆していたところ、久保田圭祐監督から「おまえの存在感だけで相手チームに重圧を与えられる。気負わずにいけ」と言われ、肩の荷が下りた。

 「自分が打てなくても、仲間が打ってくれる」と開き直った。仲間のミスを受け止められず、気まずい雰囲気からミスが続く負の連鎖を断ち切るよう努めた。凡退した選手にも「ナイススイング」と前向きに声を掛け、ベンチ内のムードを高めるようにすると、チームが一つにまとまり始めた。

 春以降、久保田監督のアイデアで、チームは朝中心の練習に切り替えた。午前5時台から練習する日もある。新治地区の自宅からグラウンドまでは電車と自転車を使っても1時間以上かかるが、始発に乗って自力で通っている。

 午前3時半に起きて弁当を作ってくれる母親の則子さん(45)への感謝も忘れたことはない。「自分のできる最高の野球を見せて喜んでもらいたい」と力を込める。

 これまで利根沼田地区からの甲子園出場校はない。「県ナンバーワンという偉業に挑むには徹底的に、がむしゃらになって打ち込むしかない」というのがチームの共通認識だ。学校から2キロ以上離れたグラウンドに毎日走って行くのも徹底している。「奇跡を起こします」。主砲は屈託のない笑顔で宣言した。(小泉浩一)

最終更新:7/17(月) 6:01
上毛新聞

スポーツナビ 野球情報