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「サブカル化」した若者デモ。社会学者が指摘するその理由

7/17(月) 7:30配信

BuzzFeed Japan

特定秘密保護法、そして安全保障関連法に反対する市民運動を展開し、国会前に数万人を集め、メディアの注目を浴びたいわゆる「若者デモ」。ただ、安保法の成立を機に「SEALDs」(シールズ)は解散。7月11日に成立したいわゆる「共謀罪」法では後継団体「未来のための公共」が生まれたが、以前ほどの勢いはない。いったいなぜなのか。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

その要因は、デモの「サブカル化」にあると指摘する、若手社会学者に話を聞いた。

「デモを一般的にしてメインカルチャーにかなり近づけたけれども、結局新しい敷居を作らざるを得なかったことで、サブカルチャー化が進んでしまったと、個人的には思っています」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、立命館大准教授の富永京子さん(30)だ。

全国に広がった「若者デモ」に参加した学生たちにインタビューを積み重ね、3月には「社会運動と若者ーー日常と出来事を往還する政治」(ナカニシヤ出版)を上梓した。

ここ数年の「若者デモ」の専門家とも言える富永さんは、現状をこう論じる。

「デモは怖いとか、古臭いとか、ヘルメットにゲバ棒のイメージだと思うんですが、そういうのをできる限り払拭して運動をつくろうとしたのが、いまの20代の方たちの取り組みだったと思います」

「そもそも、彼らには日常の延長線上として社会運動を広めるという狙いがありました。もちろん、一定の成功を収めたとはいえると思います。ただ、目的としていた多くの若者の政治参加を妨げた面もある」

若者デモが「サブカル化」した理由

すでに解散したが、一時はメディアでよく名前を見かけた「SEALDs」。特定秘密保護法に反対する学生有志の会(SASPL)が前身で、「自由と民主主義のための学生緊急行動」の頭文字をとり、2015年5月に立ち上がった。

「Supreme」などのブランドやクラブカルチャーを取り入れた雰囲気。ビラやホームページ、プラカードなどのデザインにもこだわりを見せ、「新しい風」をもたらしたように、たしかに見えていた。

「こんなに多くの若い人たちが『デモ』という言葉を知っている社会は、ここ数十年なかった。良くも悪くもですが、認知度が上がりましたよね。政治参加の一つの手段、手法、声の上げ方としてデモがある、ということ」

それでも、運動の広がりには限界があった、と富永さんは見る。根底にあるのは、デモの「サブカル化」だ。一体、どういうことなのか。

「玄人向けになってしまった、ということです。たとえば、サークルでもバンドでも同じだと思うのですが、集団がある程度持続すると、内部ではルール、マナー、しきたりを作ってしまうんです」

富永さんは、SEALDsにあった「幟を持った人は入っちゃいけませんとか、スタイリッシュさを前面に出しましょう」というしきたりについて、「こだわりの先鋭化」と呼ぶ。

もう一つの「サブカル化の要因」としてあげるのは、参加者側に「知識」がついたことだという。

「彼らはデモ以外にも、勉強会を開くということをやっていた。それ自体はいいことなのですが、そうすると、参加者側には法律や、社会問題に対する知識がどんどんとついていくんですよね。知識のない人が入れなくなってしまう」

「私から見ても、入りづらいものになってきたなあという印象を持っていました。構成員が固定され、マナーを共有し、成長して自然と敷居をあげてしまった」

それはいつしか、「新しい人たちに対する参入障壁」を生み出してしまったのだ。

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最終更新:7/17(月) 18:06
BuzzFeed Japan