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積極的にがん根治と緩和目指す 岡山中央病院・金重放射線治療センター長

7/17(月) 11:21配信

山陽新聞デジタル

 がんを「切らずに治す」治療として、放射線治療への注目が高まっている。根治するには体の外側から患部に向けて高線量を照射する必要があるが、かつての照射方法では正常組織にも大きなダメージがあった。だが、治療装置の性能が年々向上し、今では患部にピンポイントで照射できるようになってきている。

 そんな高精度の放射線治療を気軽に受けられる地域の拠点を目指し、岡山中央病院は2012年8月、「放射線がん治療センター」を開設した。前立腺がんをはじめ、肺がんや転移性脳腫瘍などさまざまながんに対し、年間300件を超える治療を行っている。放射線治療をメインに、化学療法を含めた集学的な治療を提供している。

 センター長の金重は「がんは加齢とともに体に起こる変化の一つ」ととらえる。高齢者にとっては、外科手術などがんを根治できても、体の機能を失ったり、体力を落としたりすれば生活の質を大きく損なう。放射線によって、臓器の働きを温存する「体に優しい治療」でありながら、がんを治しきる「積極的な治療」を心掛ける。

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 泌尿器科を主力とする同病院では、前立腺がんの治療件数が多い。放射線は効果があるが、隣り合う直腸など正常組織に高線量が当たると、高い確率で出血などの副作用が起き、治療を難しくしていた。

 その難点を克服したのが、「強度変調放射線治療(IMRT)」だ。

 線量に強弱をつけて照射できるのが特徴で、正常組織には高線量が当たらないようにしたり、がんのいびつな形に合わせて線量を調整したりすることができる。同病院では14年から導入した結果、現在では前立腺がんの中心的な治療となっている。

 肺がんや脳腫瘍に対しては、多方向から一点に放射線を集中させる定位照射の効果が高い。1回の治療は15~20分程度で、4日間の外来治療で済むため、患者にとって負担が少ない。脳腫瘍の場合、脳全体に照射するのと比べ、認知機能が低下するなどの副作用が少ないというメリットもある。肺がんの場合、大きさが5センチ以下でリンパ節転移がないなど適応に条件はあるが、早期がんであれば手術よりも3年生存率が良いという研究データもある。

 金重は「かつての放射線治療は、患部を含む広い範囲に当てるしかなかったが、今では外科手術でがんだけを切り取るのと似た感覚で使えるようになってきている」と言う。

 いずれの治療も、患者自身はベッドに寝たままで、装置があらゆる角度に動いて照射位置を調節する。「画像誘導放射線治療(IGRT)」の機能によって、人間の体や内臓のわずかな動きをとらえ、瞬時に照射位置を補正することができる。

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