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ウィンブルドン女王は23歳のムグルザ、再び新たな歴史を刻む【ウィンブルドン/全英】

7/17(月) 11:25配信

TENNIS.JP

7月15日 ウィンブルドン DAY 12

女子シングルス決勝が行われ、第14シード、スペインのガビネ・ムグルザ(23歳)が37歳で6度目の優勝を狙ったビーナス・ウィリアムズを7-5,6-0で破りウィンブルドンの女王となった。

2015年、セリーナ・ウイリアムズに敗れ準優勝に泣いたムグルザがウィンブルドンのプレートを抱く。
昨年のフレンチオープンに続き、2度目のグランドスラム大会の優勝を飾った。

23歳ムグルザ 新たな女王の誕生

今年で140年を迎えるウィンブルドンの伝統が、このような歴史の繰り返しを演出するのだろうか?

プレーヤーズラウンジからセンターコートに続く通路には、歴代の優勝者の名が刻まれたプレートが掲げられている。
その前を通る度に、ガビネ・ムグルザはチャンピオンの系譜に思いを馳せ、歴史を吸い込み、
「ここに自分の名前を残したら…後世の人たちが、私の名前を見ることになるんだな」と思ったという。

その女王のリストの中には、スペイン人の名前も一つだけ刻まれている。
コンチタ・マルチネス……今はスペインナショナルチームの監督であり、今大会ではムグルザのコーチとして共に時間を過ごし、アドバイスを与えてくれる人物である。

そのマルチネスの言葉を受け、歴代女王の名が書かれたプレートの前を通過し足を踏み入れたセンターコート決勝の舞台で、
ムグルザを待っているのは、37歳のビーナス・ウィリアムズ。
過去5度、このコートで優勝プレートを抱いた偉大な女王であり、大会の決勝に勝ち進んだ女子選手としては史上2番目の年長者でもある。
ちなみに史上最年長のファイナリストは、1994年の決勝進出者である、当時37歳のマルチナ・ナブラチロワ。
そのナブラチロワが優勝をかけて戦った相手こそが、くしくも、当時22歳のマルチネスだった。

繰り返された37歳のアメリカ人と20代前半のスペイン人による決勝戦は、パワーテニス時代を象徴するかのような強打の打ち合いとなる。
それも足を止めての力比べではなく、常にクロスに、そしてストレートへと展開しあい、そのたびにボールはコーナーギリギリに刺さった。
しかもラリーは簡単には終わらない。
両者ともに下がらず、ボールを打つ度にポジションを上げ、最後はスイングボレーで打ち合いに終止符が打つ場面が増える。

両者四つに組みあった打ち合いは、ムグルザサーブの第10ゲームで、ビーナスが二本のブレーク・ポイントを手にする形で最初の大きな分岐点を迎えていた。

この15-40の場面で、20本の長い打ち合いの末にビーナスがフォアハンドをネットに掛け、まずはムグルザが1本の危機を脱する。

そして実はこのラリーが、この試合の趨勢を決するターニングポイントだった。
もちろん、それは試合が終わり振り返った時に気づくことで、この時点でそのことを知る者は居ない。
しかしここからのムグルザは、8ポイントのうち1本しか落とさぬ電車道を走り出す。
ブレーク・ポイント脱出を機に3ゲームを連取したムグルザが、7-5で第1セットを奪い去った。

第2セットは、最初のゲームが全てだったろう。
デュースの末にこのゲームをブレークしたムグルザは、以降は明らかに動きが落ちショットの精度を落としたビーナスを尻目に、一気に勝利まで走りきる。
振り返れば、第1セットのあのブレーク・ポイント以降9ゲーム連取したムグルザの、圧巻の優勝だった。

表彰式からほどなくして、ムグルザは例のチャンピオンボードの前へと行き、そこに自分の名が刻まれたことを確認すると、少女のようにはしゃいだ。
そして通路の奥で自分の帰りを待つ、トレーナーやヒッティングパートナーらチームスタッフたちと喜びを分かち合う。
その場に一足遅れてマルチネスが訪れると、二人は飛び跳ね、叫び声を上げながら、かたいハグを交わした。

「コンチータが居てくれたのは、本当に心強かった。
彼女がナブラチロワに勝ち、今回は私がビーナスに勝って……素晴らしいわ」
歴史は繰り返しながら、新しい女王を生み出した。

(ライター:内田暁)

塚越亘/kyoko 協力/内田暁

最終更新:7/17(月) 11:25
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