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「食べてから動く」が一番大切 糖尿病の血糖コントロール

7/17(月) 11:25配信

山陽新聞デジタル

 糖尿病の血糖コントロールについて、倉敷平成病院(岡山県倉敷市)の青山雅倉敷生活習慣病センター診療部長に寄稿してもらった。

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 糖尿病は、疑いのある人を含めると全国で2千万人以上が罹患(りかん)していると推定されます。放っておくと腎臓障害で人工透析が必要となったり、重篤な視覚障害などを引き起こす恐れがあります。糖尿病の患者さんは、外来を受診して主治医にきちんと治療してもらうことが一番ですが、糖尿病は生活習慣病なので、患者さん自身が食事、運動がどのように血糖値と関連があるのか知っておくことが肝心です。

 一番安全に血糖値を下げるには、食事をした後に動くことです。日本人の多くは空腹を我慢して仕事をし、夜遅くに夕食をたっぷり食べ、そのまま眠ってしまう生活スタイルで、これをなかなか変えることができません。この生活習慣が糖尿病の発症や肥満につながることが多いのです。

 当院では体成分分析装置「インボディ」を取り入れて、血糖コントロールとともに筋肉量、体脂肪率を測定して糖尿病の治療にあたっています。食事をしないで運動ばかりして、がりがりに痩せて、筋肉が減っている人がいます。そういう方は基礎代謝も落ちていますが、本人は血糖値がよい、HbA1cがよい、体重が減ったと喜んでいます。同じHbA1cの数値でも、きちんと食べ、食後に運動している人は余分な体重は減って動きやすくなり、筋肉量も増えます。糖尿病の治療で大事なことはまず、食事をきちんとし、そして動くことです。

 運動はインスリンの働きと関係なく血糖値を下げてくれます。何がいい、これがいいではなくて、筋肉を動かすと、血糖(ブドウ糖)が筋肉に取り込まれて血糖値が下がるからです。言われてみれば当たり前のことのように思いますが、なかなか理解いただけないようです。

 血糖コントロールの悪い方たちは表のような食生活を送っています。女性は(1)~(5)、男性は(6)~(8)、若者は(3)(4)(6)が多いようです。自分の状態を把握し、食事に注意を払っていただけると血糖コントロールはよくなります。

 皆さんの中で勘違いがあるとすれば、「糖尿病なので食べてはいけない。明日から野菜だけ、こんにゃくだけというのが食事療法だ」と思ってしまうことです。ご飯は1食に最低100グラムは食べましょう。女の人は150グラム、男の人は200グラムは食べられます。このことを実践するだけで糖尿病治療の半分は達成しています。お肉、お魚もしっかり食べていただきます。ただし、焼き肉屋でしっかり食べるのは入っていません。帰宅時間が遅い人は、おにぎりなどを午後6時ごろに食べ、帰宅後に自宅でおかずと野菜を食べていただくとよろしいです。

 高齢の患者さんの中には食欲がないので食事をせず、栄養失調になっている人がいます。こういう状態では血糖値がどんなに高くても安全にお薬を使うことができません。まず、食べてもらうことから始めます。

 運動については、寒かったり暑かったりする中、30分から1時間、外に出て歩かなければいけない、ジムに行ってたっぷり汗をかかなくてはいけないと思い込んでいる人は少なくないと思います。仕事でよく動く方は出社前に食事をしっかり食べ、夕食は軽めにするだけで血糖コントロールがよくなります。動かない仕事の人は、食べ始めてから1時間後に5分から10分、会社の中を散歩してください。主婦の方はしっかり家事をする、夕食後にお風呂に入ったら軽く掃除をすることなどで血糖コントロールがよくなります。

 血糖値を下げる運動とはそれくらいの運動を毎食後にしてもらうということなので、皆さんオリンピック選手を目指さなくても大丈夫です。

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 倉敷平成病院(086―427―1111)

 あおやま・まさこ 北海道立旭川東高校、東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学第一内科血液内科、自治医科大学血液内科を経て、米国オハイオ州クリーブランドクリニック財団癌センター、リサーチフェローで3年間を過ごす。帰国後、岡山大学第二内科を経て、2002年、倉敷平成病院倉敷生活習慣病センターに着任。医学博士、日本糖尿病学会専門医、日本内科学会内科認定医、日本血液学会専門医・指導医、日本老年病学会専門医、日本東洋医学会専攻医。