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「侵襲性歯周炎センター」開設 岡山大学病院、包括的にサポート

7/17(月) 11:35配信

山陽新聞デジタル

 岡山大学病院(岡山市北区鹿田町)は、若年層での発症が多く進行が早い上、通常の歯周病治療では治りづらい侵襲性歯周炎に対応するため「侵襲性歯周炎センター」を設置した。歯周科をはじめ小児科、小児歯科、総合内科が中心になって早期発見、治療に当たる。関連する他の医科歯科の診療科とも連携。再発予防の指導や心理的サポートも含めて包括的に取り組む。

 侵襲性歯周炎は主に10~30代、早ければ幼児・小児期でも発症する。中高年以降の患者が多い一般的な歯周病に比べて進行が早く、放っておくと歯を支えている歯槽骨が溶け、歯がぐらぐらしたり、最終的には抜け落ちてしまう。

 センターは5月に開設した。中心的な役割を担う歯周科、小児科、小児歯科に加え、背景に内科的な病気があることも多いため総合内科とも連携する。その他、歯科放射線・口腔(こうくう)診断科、精神科神経科、小児神経科、矯正歯科、クラウンブリッジ補綴(ほてつ)科、咬合(こうごう)・義歯補綴科、予防歯科、看護部、歯科衛生士室とも協力して総合的に対応する。

 治療の基本は通常の歯周病と同様に細菌感染源の除去だが、岡山大学病院では早期に歯周外科療法を行って感染源を取り除き、骨を整形して状態を改善。患者が口の中の衛生状態を管理できるようにする。若年層では歯周組織が再生しやすいので、再生療法にも取り組む。

 岡山大学病院歯周科は「医科・歯科を持つ大学病院の特性を生かし、侵襲性歯周炎で苦しむ患者さんに対して最善の治療を提供したい。今後は臨床研究中核病院の中心を担う岡大バイオバンクを活用して、病態の解析や研究も行っていきたい」としている。

 問い合わせは歯周科(086―235―6791)。

歯周科・高柴教授、大森講師に聞く

 岡山大学病院の侵襲性歯周炎センターで、運営の中核を担う歯周科の高柴正悟教授、大森一弘講師に侵襲性歯周炎とセンターの運営について話を聞いた。

 ―侵襲性歯周炎の特徴は何でしょうか。

 高柴 普通の歯周病は主に40歳以降に起きますが、侵襲性歯周炎は10~30代で発症し、小児期に起きる場合もあります。主体は10代後半から20代で、ほとんどの患者さんが罹患(りかん)していることに気づいていません。進行が早く、20歳までに歯を失ってしまう患者さんもいます。発症率は0・03%と、低いように思われがちですが、岡山大病院で治療している患者さんだけで50人ほどいらっしゃいます。

 家系的な問題もあります。両親や祖父母に侵襲性歯周炎の方がいれば、その子どもさんで発症するケースが少なくありません。だから、遺伝的な要因がかなり影響している病気だと考えています。ただ、いろんなバラエティーがあって、原因遺伝子の特定はなかなかできていませんが。

 ―治療が難しいと言われますが、なぜでしょうか。

 大森 虫歯と違って自覚症状がないので予防が難しい一面があります。歯科にいくときは歯がぐらつきだしたとか、病気がかなり進行してしまって手遅れの状態になってから、という人が多いのが実情です。

 高柴 ただ、早期に見つけてきちんと治療すれば進行を抑制できます。最近は歯並びやかみ合わせの矯正をする子どもさんも多く、歯のエックス線写真を撮る機会は増えています。センターを開設したのは、町の歯科医の先生方にこの病気を念頭に置いてもらい、異常に気づいたら積極的に紹介していただきたいという思いもあるからです。

 ―センターでは、歯科と医科が連携しての総合的な対応を掲げていますね。

 高柴 歯だけをみて治療を試みても改善は見込めません。全身的な因子を含めての総合診療が必要です。例えば、体内に入ってきた細菌やウイルスを攻撃する白血球の働きが弱いと病気が進行してしまいます。ビタミンバランスが悪ければ栄養面からの改善を図らなければなりません。

 大森 心理的なサポートも必要です。侵襲性歯周炎に罹患する患者さんは強いストレス下にある場合が多いのです。ストレスは免疫力に影響しますし、生活習慣が乱れるとバクテリアが増えやすい環境になってくることがあります。それに、若くして入れ歯を使わなければならないと思えば、特に女性は大きく落ち込むでしょう。20代で歯を失ってしまうのは、とてもつらいと思います。

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