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<銀行>待たされて退屈「ダサい支店」は変われるか

7/18(火) 9:30配信

毎日新聞

 マイナス金利で収益悪化が続く日本の銀行で、店舗の大改革が始まるーー。金融ジャーナリスト、浪川攻さんが報告します。【毎日新聞経済プレミア】

 ◇コスト改革を迫られる銀行

 昨年来、銀行幹部による欧米出張が相次いでいる。その目的のひとつは欧米銀行の最新鋭店舗の視察だ。自行の店舗改革のためである。

 背景にあるのはマイナス金利政策である。国内収益悪化の長期化が確定的であり、それをはね返すには、個人や中小企業を対象としたリテールバンキング分野のコスト構造改革に本格的に着手し、コスト競争力を高めるしかないからだ。「リテールバンキング」とは、個人や中小企業を対象とする支店での小口金融業務のことだ。

 欧米の銀行業界ではこの10年余り、ITを駆使しながら自在な店舗を作りあげる変化が起きている。「店舗革命」と呼ぶべきものだ。これは、リーマン・ショック後に欧米で湧き起こった銀行への厳しい批判に対処し、多くの銀行が顧客支持を回復させるために、「よりよい店舗作り」を目指したことによる。

 ◇米地銀が受賞した「ストア・オブ・ザ・イヤー」

 そのなかでも、改革の旗手と目されているのが米国オレゴン州の地銀、アンプカバンク(Umpqua Bank)である。リテールバンキングに注力するために、顧客が訪れやすい店舗、顧客が来たくなる店舗を目指した。同行の経営陣が発信したのが「ブランチ(店舗)ではなく、ストアと呼べ」という言葉である。つまり、小売業として店舗を展開しているのだ。

 これは、単に言葉だけの話ではない。同銀行の店舗レイアウトは劇的に変わっている。金融以外のモノを売るブースがあれば、画廊のようなスペースもある。さらに、店舗の周辺の地域社会と関わるための部屋も設置されている。

 そのようなレイアウトで2013年に新設したサンフランシスコ支店は、米国の「Retail Design Institute(小売デザイン研究所)」から14年の「ストア・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。もちろん、銀行の受賞が初めてであることはいうまでもない。

 同銀行は象徴的だが、他の欧米銀行の店舗でも重点が置かれているのが店舗の周辺環境を効果的に反映させるレイアウトの発想である。なかでも、周辺の地域社会との関係を意識するところが多く、地域との交流を進めるミーティングルームの設置や、地域のイベントを開催するスペースを用意している店舗が増えている。

 ◇支店に保育スペースと専門スタッフ

 ドイツ銀行がベルリンに新設した店舗は、若者家族が落ち着いて相談を受けられるように、幼児連れの来店客をサポートする保育サービススペースを設けて、専門スタッフが幼児たちの世話をしている。

 これらの試みはすべて、IT活用による事務の省力化、店舗内の事務スペースの大幅圧縮で実現できるものだ。「わが国には、さまざまな銀行規制があり、店舗作りも自由ではない」(メガバンク幹部)ことはまちがいないが、「好かれる銀行」への追求のマインドが銀行業界に高まれば、金融庁も動くに違いない。やはり、問題は銀行業界のやる気である。

最終更新:7/18(火) 9:30
毎日新聞