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電気柵の利用把握、依然難しく 西伊豆・感電事故2年

7/18(火) 17:55配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 西伊豆町一色の仁科川支流「川金川」で動物よけの電気柵に感電し、男性2人が死亡、幼い子どもを含む5人が負傷した事故から19日で2年。伊豆地域では依然、農作物の深刻な鳥獣被害が続いているため、高齢者も簡単に設置でき、一定の効果が見込める電気柵が頼り。だが、設置に許可や免許が不要なことから、利用実態の把握が難しいのが実情だ。静岡県や市町は点検などを繰り返し、適正な利用を呼び掛ける。

 「電気柵を個人的に購入し、届け出がなければ、こちらでは把握しきれない」。県賀茂農林事務所の担当者は漏らす。現状では、設置者が市町やJAに助成金の申請をすれば、設置場所や状況を確認できるが、申請がなければ、使用は設置者任せになってしまう。

 西伊豆町産業建設課によると、町が把握している電気柵は町内62カ所。山に囲まれた一色地区や宇久須地区に集中している。町は県やJAと毎年、新規設置者を対象に点検を実施。申請者以外の設置状況を把握するため、町農業委員らと定期的に農地をパトロールして不適正な場合は指導を行う。

 同課の担当者は「安全対策意識を高めてもらうために農業関係者の会合では必ず注意喚起している」と話す。

 一方、シカやイノシシのほか、ハクビシンなど中型動物による食害も著しい富士宮市。電気柵設置費の2分の1を助成していて、2017年度に入ってからすでに63件の申請があった。16年度の43件を大幅に上回る申請数に市農政課の担当者は「効果に期待する声が多い。それだけ鳥獣被害がひどい」と分析。市は申請者に設置前後の現場写真の提出を義務づけ、安全性を確認している。

 県のまとめによると、15年度の県内の野生鳥獣による農林産物の被害額は約4億9千万円で、13年度以降は増加傾向にある。このうち、ニホンジカ、イノシシ、サルによる被害が約8割を占める。

 ■食害深刻、二重柵も

 「電気柵がなければ農作物は育てられない」。事故のあった西伊豆町内の農業関係者は口をそろえて深刻な状況を語る。特にシカは昼夜を問わず人家の近くや沿岸部にも姿を見せるという。

 県のまとめによると、賀茂地域6市町で2015年度、農林産物の鳥獣被害額は6333万円で14年度比136%(1692万円増)。イノシシとシカによる被害が拡大傾向にある。

 同町一色地区で野菜を育てる鈴木邦男さん(72)は畑に電気柵と鉄柵などを二重に設置。畑の横を流れる仁科川を渡って来るシカもいるという。効果的かつ安全な使用方法として、日中は送電しないように設定し、柵周辺の下草を小まめに処理して漏電を防いでいる。鈴木さんは「農業関係者とアドバイスし合っている。正しい使い方なら安全」との認識を示す。



 <メモ>西伊豆電気柵感電事故 川遊びをしていた電気柵設置者の男性の親族とその知り合い一家が次々と感電し、男性2人が死亡、子どもを含む5人が重軽傷を負った。近隣住民によると、川岸のアジサイを動物の食害から守り、事故現場近くのジオサイト「一色枕状溶岩」を訪れる観光客らに見てもらおうと電気柵を設置していた。

静岡新聞社