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<交通事故>愛知、脱ワースト暗雲 全国最速で死者100人

7/18(火) 15:00配信

毎日新聞

 年間の交通事故死者数が昨年まで14年連続で都道府県最多の愛知県は17日、今年の事故死者数が全国最速で100人に達した。198日目の100人到達は昨年より10日早く、2番目に死者数の多い埼玉県は17日現在で91人。例年、死亡事故が増える下半期(7~12月)を迎え、「全国ワースト脱却」を目標に掲げる愛知県警は焦りを募らせている。【横田伸治】

 17日午前9時15分ごろ、愛知県あま市七宝町の市道を歩いて横断中の名古屋市中川区の無職男性(83)が2トントラックにはねられ、死亡した。現場は水田地帯の見通しの良い直線道路で、横断歩道などはなかった。トラックの運転手(28)は自動車運転処罰法違反容疑の現行犯で逮捕された。この事故で今年の愛知県の死者数は100人(死亡事故件数は96件)となった。

 愛知県警によると今年の事故死者100人のうち半分の50人が65歳以上の高齢者。事故時の状況では自動車乗用中の35人(昨年7月17日時点比16人増)、自転車乗用中の21人(同9人増)が目立つ。自動車の死者では、シートベルトをつけていなかった人が12人(同8人増)。自転車の死者は全員がヘルメットを着用していなかったほか高齢者が増え出合い頭事故が多い。車両の信号無視による死亡事故も増加した。

 昨年の愛知県の事故死者数は212人で、2003年から全国最多が続く。全国の事故死者数は年々減少しているが、愛知県の死者数は近年、横ばいだ。

 県警は今年度、死亡事故対策に特化した「交通死亡事故抑止総合戦略室」を新設し、分析や対策を進めている。今年の事故死者が93人となった今月3日の夕方には、名古屋市内数カ所で警察官計約100人を動員する大規模な検問を実施した。桝田好一本部長が現場に立つなど危機感の高さがうかがえた。

 県警の担当者は「犠牲者を一人でも減らすため、地道に取り組みを続ける。何としても全国ワーストを抜け出したい」と気を引き締めている。

 ◇車の多さも全国一

 なぜ、愛知県は交通死亡事故が多いのか。

 国土交通省によると、愛知県の自動車保有台数(昨年末現在)は全国最多の約520万台で、県民1.4人に1台の計算。車の多さが事故死者の多さに直接結びついている。

 道路面積も北海道に次ぎ2位と広い。車線が多く幅広の道路があちこちにあり、規模の大きな交差点や長い横断歩道が目につく。愛知県の交通事情に詳しい藤田素弘・名古屋工業大教授は「交差点が大きいと右左折前に一時停止しても横断歩道進入までに再び速度が上がる」と指摘する。

 愛知県の今年上半期(1~6月)の死亡事故は55.7%が交差点やその近くで起きた。歩行者がいるのに一時停止しないで横断歩道に進入する「歩行者妨害」による死亡事故は12件あり、交差点の大きさも影響しているとみられる。県警は歩行者妨害の取り締まりを強化し、13年は1年間で5433件だったが、今年は上半期だけで1万7518件を取り締まった。

 交通事故対策では、歩行者が渡っている横断歩道を車が横切らないよう制御する歩車分離式信号の導入や交差点のコンパクト化が有効とされる。ただ、歩車分離式信号は赤の時間が長くなって渋滞や信号無視が増えるなどの懸念があり、愛知県の設置は16年度末で全信号の4.0%にとどまる。交差点のコンパクト化は徐々に進むが、費用面などの問題がある。

最終更新:7/18(火) 15:00
毎日新聞