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縮小するサーバ市場でDell EMCはどう戦うのか

7/18(火) 12:40配信

ITmedia エンタープライズ

 「いつまでサーバと言い続けるのか」――デルの上原宏 執行役員インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括製品本部長は、デルとEMCジャパン(以下、Dell EMC)が先頃開いた新製品発表会見でこう言い放った。

【図3】Dell EMC Readyソリューションの概要

 その新製品とは、同社が「世界シェアナンバーワンの信頼と実績を誇る」と胸を張る第14世代「Dell EMC PowerEdge」サーバである。そんな中での冒頭の発言とは、いったいどういうことか。

 まずは、その背景となる話を会見の中からピックアップしてみよう。会見の最初にあいさつに立ったデルの松本光吉 執行役副社長インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括は、市場動向についてIDCの調査結果を踏まえながら、次のように説明した。

 「私たちはワールドワイドのx86サーバ出荷台数で、2016年第2四半期以降トップを走り続けており、さらにはクラウドITインフラストラクチャにおいても2016年の売上高でトップに立った」

 日本のx86サーバ市場では国産ベンダーを追撃するポジションだが、ここにきて着実に実績を上げつつあるという。さらに松本氏は次のように語った。

 「デジタルトランスフォーメーションがビジネスの成長をけん引するようになってきた。加えて、IoT(Internet of Things)がもたらすビッグデータや人工知能(AI)の活用、サイバーセキュリティ問題の深刻化、IT人材不足といった新たな動きも出てきており、これらへの対応を兼ね備えたITプラットフォームがこれから求められるようになる」

 松本氏によると、今回発表の新製品はこれらのニーズに対応したサーバで、図1に示したような特徴があるという。新製品の詳しい内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは同氏が語った「これから求められるITプラットフォーム」の内容を頭に入れておいたうえで、Dell EMCが考える「サーバの次なる戦略」を探っていきたい。

 なぜ、サーバの次なる戦略が必要なのか。それは、仮想化による統合の進展などにより、サーバの市場自体が縮小傾向にあるためだ。従ってサーバメーカーは次なる戦略を描かないと、IT市場そのもので生き残れなくなる可能性がある。上原氏の冒頭の発言は、そんな時代の変化を印象づけるために発したものとも受け取れる。

●サーバを中核とした「コンピュート」が今後のメインに

 上原氏の冒頭の発言は、会見で新製品の説明が一通り終わった後、PowerEdgeがDell EMCソリューションにおいてどのような存在かを示したときに飛び出した。同氏は冒頭の発言後、次のように話した。

 「PowerEdgeは今後、Dell EMCソリューションの中核になる。つまり、サーバは今後、単体だけでなくSoftware-Defind、すなわちソフトウェアで定義されたさまざまなコンピュート製品の中核を成す形で組み込まれていく。その際、DellとEMCが統合したことにより、DellのサーバとEMCのストレージを、開発当初から多様なニーズに応じて組み合わせた製品を提供できるようになった。このアドバンテージは非常に強力だと自負している」(図2)

 このコメントからすると、これからはサーバというよりも、サーバを中核とした「コンピュート」というカテゴリーで捉えるべきではないかというのが、上原氏が主張したかったことのようだ。

 さらに、同氏はそのコンピュート製品として、Dell EMCならではのソリューションを紹介した。図3に示した「Dell EMC Readyソリューション」がそれである。このソリューションは「Ready」の名の通り、さまざまな用途に応じたハードウェアとソフトウェアを組み合わせて最適化を図り、すぐに使える状態にしたパッケージ製品となっている。まずは「Ready Nodes」「Ready Bundles」「Ready Systems」の3種類を用意している。

 加えてDell EMCは、コンピュート製品という観点からすると、図1や図3にも表記されているが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品にも注力している。HCI製品は、サーバとストレージ、仮想化機能などを統合してITインフラのシンプル化を図り、ユーザーがアプリケーション開発やサービス対応に集中できる環境を提供しようというものだ。

 上原氏は、「PowerEdgeはHCI製品のサーバとしても適用されている。その意味では、ReadyソリューションやHCI製品がPowerEdgeの重要な拡販策であり、Dell EMCのコンピュート製品戦略となる」と話す。ReadyソリューションやHCI製品は、先に松本氏が語った「これから求められるITプラットフォーム」を目指したものでもあるはずだ。

 市場の縮小とともにサーバという表現がなくなるかどうかは分からないが、コンピュートもしくはITインフラのニーズが今後も拡大していくことは間違いない。とりわけ、このところのHCI製品の需要増加ぶりを見ると、DellとEMCはそうした市場の動きを見越して統合したのではないか、との印象が一層強くなる。

 さて、Dell EMCの次なる新製品は「第15世代サーバ」なのか、それとも「新世代コンピュート」なのか。注目しておきたい。