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香港最大のメディアグループ・アップルデイリーの親会社、傘下の雑誌売却

7/18(火) 20:14配信

みんなの経済新聞ネットワーク

 香港で民主派寄りの媒体「蘋果日報(Apple Daily)」などを発行する「壹傳媒(Next Digital)」が「壹週刊 (香港)」「壹週刊 (台灣)」「Next+One」などの雑誌を「W Bros.Investments」に5億香港ドルで売却することを決めたと香港メディアの東報日報が7月17日、報じた。(香港経済新聞)

 壹傳媒は、製造小売業(SPA)「ジョルダーノ」創業者の黎智英(Jimmy Lai)さんが1990年に既存の媒体を買収する形で創立(当時の英語社名はNext Mediaで、2015年10月に現在の名前に変更)。アップルデイリーが創刊される前の香港の新聞は白黒が中心の現在の日本の新聞のような紙面が基本だった。しかしアップルデイリーはビジュアル化、カラー化を一気に進め、文字を大きくする、目を引くような見出しを立てるなど香港の新聞界に革命をもたらした。近年は、選挙会場、デモ現場や事故現場などに三脚を使ってスマートフォンを設置。現地の映像を時間無制限に、そのまま生放送でインターネットを使って流すという手法も積極的に取り入れ、時間的制約があるテレビ局よりも重宝されることもしばしばあった。

 黎さんの幼少期の中国での原体験の影響もあり徹底的な反共産党の媒体で、2014年の雨傘運動では学生側を積極的に支援した。そのメディアとしてのスタンスは、中国でビジネスをする企業、もしくは中国政府の目を気にする企業にとっては、メディアとしての影響力が大きくても広告を出しにくい状況だった。香港系の大手企業はほぼ中国でビジネスをしていることから大型の広告出稿が減り、外資系企業の広告だけでは補いきれず特にここ数年の経営は厳しい状況に陥っていた。

 2017年3月期決算では収入は前年比23.4%減の5億4,300万香港ドルで、前年の3億2,400万香港ドルの赤字から3億9,300万香港ドルと赤字が拡大していた。2011年からの累積赤字は14億8,800万香港ドルに上る。

 W Bros.Investmentsは今回、現在発行している「壹週刊 (香港)」「壹週刊 (台灣)」「Next+One」「ME!」のほか、現在休刊中の「忽然1周」「FACE」「壹本便利」を発刊する権利を得た。ただし、現在でも香港のレストランのバイブル的存在である「飲食男女」と「交易通/青雲路」は壹傳媒が継続して発行を続ける。

 W Bros.Investmentsのトップである黄浩(Kenny Wee)さんは、レストランの運営で名を知られるようになり2009年にモデルでタレントの徐菁遙(Suki Chui)と結婚したことで話題になったほか、女性スキャンダルを起こしてタブロイド紙をにぎわせたこともある。2013年には当時、壹傳媒同様に経営難に陥っていた世界的な無料の新聞の「都市日報(Metro)」の香港版を買収し、今回は壹傳媒の媒体を傘下に収める事で香港社会を驚かせている。 

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