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「あの時、車に乗せていれば」=祖母と両親亡くした坂本さん―九州北部豪雨

7/18(火) 19:51配信

時事通信

 九州北部を襲った豪雨災害で、福岡県朝倉市杷木林田の会社員坂本貴志さん(46)は、同居していた父行俊さん(79)と母純子さん(68)、祖母のヨリ子さん(89)の3人を失った。

 3人は避難を拒み、自宅に残って被災した。

 豪雨が襲った5日午後、貴志さんは娘2人を近くの妹の家に預けた後、戻って3人を説得したが応じなかった。「5年前の豪雨では被害がなかったので、大丈夫と思ったのだろう」と貴志さんは振り返る。30分後に再び説得を試みようと自宅を訪れたが、家はすでに濁流にのまれ、近づけなくなっていた。

 その約2時間後、貴志さんと一緒にいためいに純子さんから電話が入った。電話の向こうからは純子さんの叫び声が聞こえ、会話にならなかったという。親族の不安は増し、貴志さんらは胸まで水に漬かりながら再び自宅を目指したが、濁流に阻まれ断念せざるを得なかった。3人は行方不明となり、後日いずれも死亡が確認された。

 貴志さんによると、ヨリ子さんは貴志さんが小さい頃、夏祭りに連れて行ってくれるなど、子供好きな優しいおばあちゃんだった。行俊さんは元陸上自衛隊員で春日駐屯地(福岡県春日市)などに勤務経験があり、厳格な人だったという。純子さんは地域のお茶会をいつも楽しみにしており、友人が多かった。

 3人の死亡が確認された後、貴志さんは祖母の遺体が発見された河川敷を訪れ、遺品を探し歩いた。「あの時、引きずってでも車に乗せていれば」。今も悔しい思いを抱えている。 

最終更新:7/18(火) 20:31
時事通信