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好調・テレビ東京を引っ張る出川哲朗の「ヤバイ」ほどの“善人力”

7/18(火) 15:03配信

スポーツ報知

 テレビ東京が元気だ。5月29日から6月4日のゴールデン帯(午後7時~10時)の週間平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で8・6%を記録。1964年の開局以来、53年目で初めて民放キー局3位(総合4位)となった。

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 原動力となっているのは、一人のベテラン芸人だ。出川哲朗、53歳。出川が電動バイクに乗って道行く人の人情を頼りに旅をする「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」(土曜・後7時54分)が不定期放送を経て、4月15日からレギュラー番組に。5月27日に開始以来最高の8・3%をたたき出すと、15日の「2時間半スペシャル」も8・1%と好調を持続している。

 旅先で出会った人たちに「電動バイクに充電させてもらえませんか」と頼み込み、行きずりの人情頼りに旅をする―。決めぜりふは、いつもの「ヤバイよ、ヤバイよ」。その姿は確かにコミカルで楽しい。土曜の夜に見るにはもってこいの“まったり系番組”だが、至極単純な内容での、この好結果を作り手側のテレビ東京のトップはどう思っているのか。

 そんなことを思いながら、13日の社長定例会見に出席。6月の株主総会で就任したばかりの小孫茂新社長(65)に「『充電させてもらえませんか』の魅力とは?」と率直に聞いてみた。

 「一つは出川さんのキャラクターだと思います。何とも言えない包容力と言っていることは『ヤバイよ、ヤバイよ』だけのような気もするんですが、いろんな『ヤバイ』があって、出川さんが新しいキャラクターをお作りになった。(ヒットは)出川さんの魅力に負うところが大きいと思います」と真っ先に人柄を絶賛。「大変、先行きを期待しています。すごい大番組になるんじゃないかなという予感がしております」という予想まで飛び出した。

 そう言えば、前任の高橋雄一前社長(65)も同局の特に明るい兆しとして、常に同番組の名をあげ「うまく育ちつつあると思います」と笑顔を見せていた。

 バリバリの日本経済新聞記者出身の新旧社長を夢中にさせる出川の“人間力”。それを証明するエピソードを私も会社の先輩から聞いたことがある。

 先輩夫妻が都内の映画館に足を運んだ時のこと。指定席に向かうと、そこには松葉づえを横に置いた出川が座っていたという。当時、出川は足を骨折中。先輩夫妻の席は後ろから2番目。松葉づえをついていても移動に便利な席だったため、骨折中の出川を気遣い、「僕らが席を移りますから、その席をお使い下さい」と言って移動。出川も恐縮しながら、その席で鑑賞したという。

 そして、映画が終わった時のこと。エンドロールが流れ始めた時、先輩夫妻が出口に向かおうとすると、席に座って、じっと2人を待っていた出川が「どうもすいませんでした」。ふだんテレビ画面で見せるヘラヘラした表情とは一変、とても真面目な表情で深々と頭を下げたという。

 出川の方が出口に近い席。先に出て、帰ってしまってもいいところだが、お礼を言うためにだけ待っていた、その姿勢に先輩夫婦は逆に恐縮してしまったという。

 世はお笑いタレント・ブーム。ワイドショーで鋭い意見を放つ芸人もいれば、ひな壇でひたすら「ガヤ(ヤジ)」を飛ばす芸人、スベリ芸を武器とする芸人まで百花繚乱(りょうらん)だ。そんな中、失礼ながら、大げさなリアクション以外、あまり面白いと思ったことがなかった出川が堂々、冠番組を持ち、民放キー局の視聴率争いのキーマンにまでなっているのは、なぜか? ひとえにテレビ画面越しでも伝わってくる、その人柄にあるのではないか。「充電させて―」を見ていると、新しいタイプ“人柄芸人”の誕生かと思ってしまうほどだ。

 そう言えば、初の社長会見で小孫社長は「今、テレビ東京に風が吹いていると思っています」と言い切っていた。その「風」の行方は身長160センチの小柄なお笑い芸人が握っているのかも知れない。(記者コラム・中村 健吾)

最終更新:7/18(火) 16:00
スポーツ報知