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最高値更新が続く米株式市場で警戒すべき不安材料とは

7/18(火) 17:25配信

投信1

先週の米株式市場は連日の最高値更新となりました。ただ、経済指標はさえない数字が並んでおり、株価の上昇には違和感も少なくはありません。そこで今回は、軟調な経済指標でも株価が上昇している背景とそこから伺える不安材料を整理してみました。

インフレのみへの着目ではバランスを欠く恐れも

先週の米株高を先導したのはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言でした。イエレン議長はこれまで、インフレの鈍化は“一時的”として利上げに前向きな姿勢を示していましたが、12日の議会証言では物価動向を慎重に見極める姿勢に転じたことから年内の追加利上げ観測が後退しています。

ただ、6月のFOMCの議事録が5日に公開され、インフレの鈍化が一時的ではない可能性が既に触れられていたことを踏まえると、議会証言の内容を“ハト派”と解釈するのは行き過ぎなのかもしれません。

また、FRBは“物価の安定”と“雇用の最大化”の2つの目標を掲げていますので、物価のみに目を奪われて金融政策を評価することは不適切である恐れがあります。インフレ率が目標に届いていないことは事実ですが、失業率が目標を達成し続けていることもまた事実です。

FRBは2015年12月に利上げを開始して以降、これまでに合計で4回利上げを実施していますが、すべてにおいてインフレ率は目標を下回っています。FRBは失業率が目標を達成している限り、インフレ率は目標に回帰すると考えていますので、インフレ率が目標に達していなくても失業率が目標をクリアしているのであれば、利上げの可能性は残されているのかもしれません。

必ずしもマイナスではないインフレ率の低下

ところで、インフレ率の低下は家計の購買力を高めますので、必ずしもマイナス要因ではありません。

米消費者物価指数(CPI)は2月に2.7%まで上昇していますが、この影響で実質所得が1月、2月と連続でマイナスとなっていました。実質所得が2カ月連続でマイナスとなるのは、まだ景気後退局面にあった2009年以来のことですので、1-3月期の個人消費が低迷してしまうのも無理はなかったのかもしれません。

賃金の伸びを上回るスピードで物価が上昇してしまうと、実質所得がマイナスとなり消費が冷え込んでしまいます。しかし、インフレ率が低下したおかげで5月はインフレ調整後の可処分所得が大きく伸びており、6月も実質所得の高い伸びが期待できそうです。

5月の米小売売上高は低調に終わりましたが、所得の動きを見る限りでは持ち直しに期待できそうで、個人消費が持ち直すのであれば、利上げには追い風となるかもしれません。

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最終更新:7/18(火) 17:25
投信1