ここから本文です

いま再び訪れたい「神々の住む島」へ バリ島

7/18(火) 15:29配信

朝日新聞デジタル

【世界美食紀行】

 「LCCの格安航空券でバリ島に弾丸旅行できる」。そんな私の提案に興味を示したのは、意外な人たちでした。予想していたのは、飛行機を降りてそのまま会社や学校へ行けるほど体力があり余っていそうな若いビジネスパーソンや学生さん。ところが現実は、小さな子どものいる女性が関心を持ったのです。彼女たちいわく「たまの週末くらいなら、そろそろパパやジジババに子どもを預けて出かけられる」。しばらくお休みしていた海外旅行を再開するのに、バリ島はぴったりの旅先です。

【画像】「神々の住む島」へ

 そうはいっても高額な航空券代がかかるなら、1泊で戻って来てしまうのはもったいないですよね。コスパを重視する世代の女性に、弾丸旅行がイマイチはやらないのはそのためでもあります。運賃の安さが特徴のLCCが登場したことで、バリ島が選択肢のひとつに入りました。

 さて、はじめての人はもちろん、かつてバリ島に通い詰めたこともあったけど、いまやすっかりご無沙汰という方におすすめしたいのが、バリ島の伝統文化や風習を再発見する旅です。はじめてバリ島を訪れたとき、私もガイドブックを片手に伝統芸能や舞踊を鑑賞して回ったものでした。けれどもその後は、リゾートにこもったり、チープな街スパ(バリ島は私にとってタイと並ぶ世界2大スパ天国!)めぐりをしたり。ところがこの旅で初心に戻ってみたら、たくさんの発見がありました。

 バリ島はインドネシア共和国に属する小さな島ですが、イスラム教徒が大部分を占める国のなかで、バリ島だけが土着宗教から生まれたバリ・ヒンドゥー教を信仰しています。この宗教が風習や生活習慣と密接に関わっていて、どこの家やホテル、ショッピングセンターにさえそれぞれの寺院があり、朝や夕方には「チャナン」という色とりどりの花をふんだんに盛った花かごをお供えする女性の姿を見かけ、多くのバリ人が毎日のようにお祈りを欠かしません。

 バリ・ヒンドゥー教の新年「ニュピ」やお盆にあたる「ガルンガン」のほか、村や街単位でのお祭りやセレモニーがしょっちゅう開催されていて観光客でも温かく迎えられ、日ごろまったく無宗教な私でさえバリ島にいると神様の存在を感じられる。それがバリ島が「神々の住む島」と称される理由です。

 宗教と関係が深く、バリ島独自の価値観の理解につながる観光のひとつに「バロンダンス」鑑賞があります。バロンダンスは、寺院で神様に捧げる奉納舞踊が発展したもので、「善と悪」「生と死」「聖と邪」といった相対する二つの観念を物語仕立てで表現しています。バリ・ヒンドゥー教では、これらの対になった観念は個別に存在するのではなく、つまり善人と悪人がいるわけではなく、善悪も生死も聖邪もひとりの人間の中に存在していると考えられる。

 そういうと非常に哲学的に聞こえますが、なかにはこれを自分に都合よく解釈しているちゃっかりしたバリ人もいるのです。要するに「神様だって人間には悪があると言っているんだから、悪いこと(まぁ主にぼったくりですね)したってそれは自分の一部分に過ぎないもんね」だそうで、まったくもう。もちろんほとんどのバリ人は優しくて正直、穏やかな人々ですが、ときにはこんなバリ人もいるから笑ってしまいます。

 そんなバリ島再発見の旅で、必ず訪れていただきたいのが、バリ島の中部に位置する森と渓谷に包まれたアートの街ウブドです。ウブド周辺には、バリ島らしい緑豊かな絶景が広がる美しいライステラス(棚田)や、ジャコウネコのフン(お食事中だったらごめんなさい!)から採取するコーヒー「コピルアック」の農園など、訪れてみたいスポットがいっぱい。さらにいまこそウブドに行くべき理由があるのですが、そのお話はまた次回に。

■トラベルデータ

インドネシアのバリ島へは、LCC(格安航空会社)のエアアジアのほかガルーダ・インドネシア航空が直行便を飛ばしている。成田からバリ島への飛行時間は約7時間。
公用語はインドネシア語。バリ人同士ではバリ語を話す。観光施設では英語はよく通じ、簡単な日本語が通じることも多い。
時差はマイナス1時間。通貨はインドネシアルピアで1000ルピア=約9円。
*データは2017年5月取材時のもの

■MEMO:旅と交通

エアアジアは成田=バリ線を毎日1往復運航しています。行きは成田を8時25分に出発して午後2時25分にバリ島に到着。1泊して次の日の深夜11時にバリ島を出発する飛行機に乗れば成田には翌朝7時10分に到着。週末1泊3日のバリ島旅行が実現します。

■取材協力:エアアジア

(文・写真 江藤詩文 / 朝日新聞デジタル「&TRAVEL」)

朝日新聞社