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手間惜しまず搾りたて 東毛酪農「低温殺菌牛乳63℃」 ソラマチ出店でブランド前面に

7/18(火) 6:04配信

上毛新聞

 牛乳を静かに置いておくと、上部に脂肪分が浮いてくる。「クリームライン」と呼ばれる天然の生クリーム層だ。生乳に含まれる脂肪球を砕かず、高い熱を加えないことでできる現象で、より搾りたてに近い牛乳のしるし。群馬県の東毛酪農業協同組合(太田市新田市野井町)が手掛ける「低温殺菌牛乳63℃」はこの新鮮さが売りだ。

 生乳の殺菌温度が1度でも高いと「クリームライン」はできない。東毛酪農の殺菌温度は63度。この数字は商品価値を生み出す生命線と言える。商品名はここからとった。

■計50分の処理

 市販牛乳の多くは120~130度で2~3秒の超高温殺菌をしている。これに対して東毛酪農は63度の低温で30分かけて殺菌する。しかも、規定により20分かけて63度まで上げなければいけないため、殺菌処理だけで計50分を要する。

 大久保克美組合長(68)は「工場的には牛乳に手を加えた方が楽。それでも最低限の熱で、酪農家が搾ったおいしい牛乳をそのままに近い形で提供したい」と力を込める。

 低温殺菌するためには、細菌数の少ないきれいな原料乳作りも欠かせない。そのため組合に加盟する酪農家による、厳しい基準をクリアした生乳だけが使われる。

 こうして作られたこだわりの牛乳は、まろやかで自然な甘みがある。タンパク質やカルシウムの成分が熱で変質せず、牛乳特有の臭みも少ない。「飲んでもおなかがゴロゴロしない」「牛乳嫌いでも飲める」などと評判を得ている。上部に浮かんだ生クリームはコーヒーや紅茶に入れても楽しめる。

■消費者に応え

 組合はもともと高温殺菌の牛乳を製造していた。転機が訪れたのは1982年、東京都の消費者グループの突然の訪問だった。

 「ドイツから帰国したら、家族が日本の牛乳を飲めなくなった」。グループ代表の小寺ときさん(故人)はこう相談し、低温殺菌牛乳の製造を依頼した。欧州では一般的な低温殺菌牛乳が、当時の日本でほとんど流通していなかったからだ。

 組合は牛を放牧して育てる直営の根利牧場(沼田市)を持ち、利根川河川敷の野草を飼料として利用、専属の獣医師を置くなど、独自の取り組みをしていた。それを知ったグループが「ここなら作ってくれるのではないか」と評価してのことだった。

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最終更新:7/18(火) 6:04
上毛新聞