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「母とアスリート -反町由美と公紀-」

7/18(火) 10:00配信

カンパラプレス

反町公紀(まさとし)は、ラグビーが大好きな少年だった。全国大会にも出たことがあり、将来を期待されていた。ところが中学1年のとき、突然の事故にあう。右半身が動かなくなり、高次脳障害も残ったが、公紀は陸上を始める。すぐに頭角を表し、ジャパンパラの陸上男子200メートルと400メートルで優勝。その影には、母由美の献身的なサポートがあった。

思いは、必ず届く。

もともとはラグビーを頑張っている子で。全国大会で優勝して、秩父宮で試合もしてるんです。事故の前日もラグビーの練習をしていました。びっくりです、本当に。全く予想できなかった。冬休みのことでした。警察からの電話で、マーちゃん(公紀)が車にひかれたと連絡がありました。
あわてて駆けつけたら、道路に倒れていた。運が良かったのですが、うちの子をはねた車の2~3台後ろにパトカーがいたんですよ。救急車を手配してくれたり、対処はとても早かった。そこにおまわりさんがいなければ、もう駄目だっただろうなあって。本当によく生きて、しかも、よく今走ってるなっていう。
そのまま、彼の意識が戻らないまま年が明けました。豊岡(群馬県)の河川敷で、年初めにグラウンド開きというのがありました。そこから、マーちゃんが入院している病院が見えてたんですよね。そしたらラグビーの監督や仲間が「公紀、目覚ませえ!」と全員で叫んでくださって。その足で病室に行ったら、なんと意識が戻っていたんですよ。後で本人に聞いたら、「声が聞こえた」って。みんなの声が聞こえたんで、こっち来なきゃって思ったって。届くんでしょうね、人の思いって。だから私、チームには本当に感謝しかありません。

わずかな成長でも、面白がる。

病院にはほぼ1年入院して、その後リハビリ病院に転院しました。私もずうっと事故の日から、一緒に寝泊まりしてました。その後はマーちゃんが暴れる時期があって。川に飛び込もうとしたりとか、ワーッと病院から飛び出しちゃったり。たまに私も首をしめられたりね。ほんっと、そのときだけは私も、「あ、これ地獄だなあ」と思いましたね。
その後は少し落ち着いて、友達の顔がわかるようになったり。今も全体に麻痺は残ってるんですけど、右手がまず動かないですね。右の足は全く感覚がない。いわゆる高次脳障害なので、失語、失行、失認、いろいろ。本当に症状はバラエティに富んでいます。
でも、今はスマホを使ってコミュニケーションとれるんですよ。「寒くない?」と送ると「大丈夫です」と返ってくる。面白いですよ。最初のころは本人に「元に戻って」って泣きながら言っちゃうことがあったんです。そうしたらある日、スッとわたしのこと抱きしめてくれて、そして鉛筆で紙に何かを書き始めて。見たら「今を生きる」って書かれてたんですよ。ガーンって。それで、ああ、私自身ももう完全に前向かなきゃって思った。彼のほうが早く成長していた。その成長が毎日面白かった。

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最終更新:7/20(木) 17:41
カンパラプレス