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見届けたい義足スプリンター高桑早生の「今」 ~世界パラ陸上観戦記~

7/18(火) 14:39配信

カンパラプレス

 14日に開幕した「WORLD Para Athletics CHAMPIONSHIPS LONDON 2017」(世界パラ陸上競技選手権ロンドン大会)は、競技4日目を終えた。2012年にロンドンオリンピック・パラリンピックが行なわれた「ロンドンスタジアム」には、連日大勢の観客が押し寄せている。世界のトップアスリートたちへの声援と、その鍛え抜かれたパフォーマンスへの大歓声がこだまする雰囲気は、まさに5年前「史上最大の成功」と謳われたロンドンパラリンピックを彷彿させる。そんなアスリートにとって最高の環境の中、日本人選手たちは、世界の超人たちと鎬を削り合っている。報道陣がインタビューすることのできる「ミックスゾーン」では、選手たちのさまざまな表情や感情がひしめき合う。そんな中、義足スプリンター高桑早生(エイベックス)のいつもと違う様子が気になっていた――。

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いつもとは違ったスタート前の表情

「あれ、どうしたんだろう……」
 17日(現地時間)の午前に行なわれた女子100m(T44 )の予選。スタート前、競技場のスクリーンに映し出された高桑の表情は、これまで見たことがないほど硬かった。「Saki Takakuwa」のアナウンスとともにカメラを向けられると、いつもなら弾ける笑顔を見せる彼女が、この日はニコリともしなかった。キュッと口を真一文字に結び、深々とおじぎをした。
「集中しているということなのかもしれない」
 そんなふうにプラスに捉えようとしたが、何か胸騒ぎは収まらなかった。

 彼女の表情は、緊張しているというよりも、逆に気負いすぎているように見えた。2日前、走り幅跳びを終えた後のインタビューで、高桑は「調子が上がってきているので、100mは楽しみで仕方がない」と語っていた。それだけに、「やってやる」「やれるはず」そして「やらなくちゃ」というような気持ちが、硬い表情を生み出しているような気がした。

 高桑は7人のちょうど真ん中のレーンだった。左隣には、彼女と同じ下腿片脚義足のランナーが3人、そして右隣には下腿両脚義足のランナーが3人いた。片脚義足のランナーがスタートでリードを取り、両脚義足のランナーが後半に伸びてくるというレース展開はわかり切っていた。その中で、決勝に残るには3着に入るか、あるいはタイムで拾われる2人に入るには、少なくとも5着には入る必要があった。

「On Your Marks」「Set」……次の瞬間、号砲とともに、全員が勢いよく飛び出した。高桑のスタートは決して悪くはなかった。あとで動画を確認しても、彼女の反応は他の選手と比べても早かった。だが、上体が起き上がってからは、同じ片脚義足の3人に引き離された。このことが、高桑の走りに大きく影響を及ぼしていた。

「思ったよりも前に出られてしまったことを、レース中盤で感じてしまったんです。それを気にせずに自分の走りに最後まで集中できていれば、結果はもっと違っていたのかもしれません……」

 結果は6着。シーズンベストのタイムにも届かず、高桑にとってはとても納得のいくレースではなかった。

 レースを終えて、ミックスゾーンに現れた高桑は、懸命に冷静さを保っているように見えた。そんな姿に、スタート前のあの硬い表情の真相を聞きたいと思っていたが、何か人前で触れてはいけないような気がして、その場で聞くのは咄嗟にやめた。

 インタビューが終わり、報道陣から離れたところで、もう一度、彼女を呼び止めると、先ほどとはまるで違う彼女の姿があった。やはり、悔しさを必死でこらえていたのだ。

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最終更新:7/18(火) 23:53
カンパラプレス