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中国の急所 資本流出が一服

7/18(火) 15:00配信

ニュースソクラ

世界通貨安定だが、秋の党大会以降は要注意

 中国経済が崩壊するとすればここからと言われる資本流出は一服した。6月29日発表の1-3月期国際収支統計を見てみよう。

 準備資産を除いた金融収支(中国の資本流出入)は368億ドルの黒字(資本流入)と3年ぶりに黒字に転換した。

 中国の資本流出が一服した1-3月期の人民元レート(対ドル)は、年初の6.95から元高方向に推移し、1月中旬には一時6.83台と昨年 11月以来の元高を記録。2月は6.85~6.89、3月は6.86~6.89と、やや元安方向に推移していたが、昨年10-12月期での元安基調に比べれば、非常に安定的な推移を続けた。

 人民元の安定感が増したのは中国の資本流出が一服したからだろう。現に、人民元買い介入の原資となる準備資産は26億ドルの減少にとどまった。 ほとんど介入はしていない。

 4月以降も中国の資本流出は抑制されたままである。

 中国・国家外貨管理局が公表した「銀行口座経由の対外取引高(銀行代客渉外収付款数据)」によると、中国の市中銀行を経由した中国民間部門の資本流出額は、3月に174億ドル、4月に153億ドル、5月に218億ドルと、3カ月連続で流出超。

 ただ流出額は、平均して200億ドル未満に収まっており、昨年平均(月間300億ドル)より小さい。人民元レートが5月下旬から元高基調が強まり、6月末は6.76まで元高が進んだことも考えると、中国の資本流出はいったん収まった。

 中国の資本流出が収まり、人民元が対ドルで底堅く推移する背景の一つに、中国景気の安定がある。6月の中国製造業PMIは51.7、同月同国の非製造業PMIは54.9と、いずれも3カ月ぶりの高水準を記録。今秋の中国共産党大会が終わるまでは、中国当局は景気安定を優先するとの見方が強まっている。

 中国景気の安定見通しは、アジア通貨の安定につながっている。今年4-6月期のアジア通貨の対ドルパフォーマンスを見ると、マレーシア・リンギットが3.1%、シンガポール・ドルが1.5%、タイ・バーツが1.2%の上昇をそれぞれ記録。韓国ウォンが2.2%安とアジア通貨の中で唯一大幅下落となったが、ファンダメンタルズが脆弱なフィリピン・ペソですら0.5%安にとどまっている。

 中国景気の安定はドル円のサポートにもなっている。ドル円は4月半ばに108円ちょうど近辺まで下落したが、その後は上昇基調で推移し、5月上旬には114円台まで上昇。5月中旬に再び下落基調に転じ、6月のFOMC直後は109円割れとなったが、その後はじり高の動きが続き足下は112円台半ばまで上昇している。

 中国経済さえ安定していれば世界経済も安定。そんな為替相場の動きが続いている。裏返していえば、中国の党大会が終わる秋以降は要注意だ。

■村田 雅志(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト)
東京工業大学工学修士、コロンビア大学MIA、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社にてアナリスト、エコノミスト業務に従事。2004年に株式会社GCIアセットマネジメントに移籍。2006年に株式会社GCIキャピタル・チーフエコノミスト。2010年10月よりブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト。2009年より2013年まで専修大学経済学研究科・客員教授。日経CNBCでは「夜エキスプレス」レギュラーコメンテーターを務めている。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」、「ドル腐食時代の資産防衛」など。

最終更新:7/18(火) 15:00
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