ここから本文です

幻の成田新幹線用地、「日本最長発電所」として活用 長さ10.5km、そのメリットとは?

7/18(火) 16:05配信

乗りものニュース

新幹線が走っていたかもしれない成田空港

 1974(昭和49)年に着工されたものの、幻に終わった成田新幹線。それからおよそ40年の時を経て、その用地が「メガソーラー発電所」として生かされることになりました。

【地図】「幻の成田新幹線」そのルートは?

 東京と成田空港を結び、特急「スカイライナー」も走る成田スカイアクセス線(北総・京成線)。その千葉ニュータウン中央駅(千葉県印西市)付近では、線路へ沿う形で空き地が続きます。この空き地に成田新幹線が通り、千葉ニュータウン中央駅には新幹線の駅が設けられる予定でした。

 しかし、騒音公害への懸念などを理由に建設の反対を求める社会の動きから、1983(昭和58)年に工事は凍結。そのまま計画が失効し、「幻」になっています。

 それ以来、長きにわたって生かされることがなかった土地を使い、2017年7月15日(土)、スパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(SGET)が「SGET千葉ニュータウンメガソーラー発電所」の運転を開始(事業会社はSGET千葉ニュータウンメガソーラー合同会社)。18日(火)、森田健作千葉県知事も出席するなか、千葉ニュータウン中央駅付近で開所式を実施しました。

 この土地の所有者は千葉県で、県の用地を活用してメガソーラーの普及を目指す同県は2014年、この元・成田新幹線用地におけるメガソーラー設置運営事業者を募集。その結果、応募した6者からSGETが選ばれています。

発電所用地として向いてはいないが、ある大きなメリットが存在

 このたび運転を開始した「SGET千葉ニュータウンメガソーラー発電所」は、元・成田新幹線用地という経緯から、千葉ニュータウン中央駅付近から印旛日本医大駅(千葉県印西市)付近までおよそ10.5kmに渡って線路沿いに延びる細長い発電所になっており、その長さは日本最長とのこと。

 一般的に、細長い線路の跡地・用地は転用が容易ではなく、廃線跡の活用も、多く見られるのは道路や公園などです。SGETの谷脇栄秀社長によると、この元・成田新幹線用地も決して、発電所用地として向いているわけではないといいます。

 ただ、送電ロスを抑える工夫などがされているほか、千葉県の森田知事は、日本の技術の素晴らしさ、千葉県のエネルギー問題への取り組みを車窓から多くの人にアピールできると、「空港アクセス線沿いの細長い発電所」のメリットを話します。

 またスパークス・グループの深見正敏代表取締役は「オリンピックなどを控え今後ますます海外の方がお見えになるなか、日本のクリーンエネルギーへの取り組みを見てもらうため、身を粉にして働きたい」といいます。

「リターンが出る適正な内容で、社会的意義も高いものがあります。そういう意味で魅力のある事業です」(スパークス・グループ 深見正敏代表取締役)

「SGET千葉ニュータウンメガソーラー発電所」は約15ヘクタールの敷地に、およそ165mm×100mmの太陽光発電パネルを4万7454枚設置。容量およそ12.8MW、年間発電量およそ1280万kWhで、4000から5000世帯の年間使用量に相当するとのこと。土地の賃借料は1平方メートルあたり年額180円、電気の買取り価格は32円/kWh、総事業費は約44億円です。

 なお、成田新幹線は東京~成田空港間を最速30分で結ぶ計画でした。またJR京葉線の東京駅は、成田新幹線の東京駅を設ける予定だった場所にあるほか、成田空港付近では現在、成田新幹線のために建設された高架橋、トンネルを、京成電鉄の特急「スカイライナー」やJRの特急「成田エクスプレス」などが走っています。

 ちなみに特急「スカイライナー」は、在来線最速の160km/h運転を実施。東京と成田空港を最速36分で結びます(日暮里~空港第2ビル)。

恵 知仁(鉄道ライター)