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豪華列車に客船クルーズ、シニア富裕層が買いたいのは「思い出」

7/18(火) 7:51配信

Bloomberg

「家のローンも終わって、子育ても終わって、今楽しむしかないでしょ」。7年前に大手事務機器メーカーを定年退職した梅本富士夫さん(67) は話す。定年後、自分たちへのご褒美として夫婦水入らずのカリブ海クルーズに行ったのを皮切りに、何度も豪華客船の旅を楽しんでいる。

天気がよければ、毎週のように趣味のヨットセーリングに仲間と出掛ける。毎年ハワイを訪れ、夏と秋には孫を含む家族総勢13人で国内旅行をする。「欲しい物は特にない。物ではなく、思い出や精神的な楽しみにお金を使いたい」と言う。仕事は食品加工機を製造販売している会社に顧問として週3日ほど勤務するだけだ。

プールや映画館、カジノにバーといった娯楽満載のクルーズ客船に、絶景の展望室やひのき風呂などを備えた走るホテルのような豪華列車など、さまざまな高級サービスが登場している。ブランドバックや時計などの「モノ消費」が中心だったラグジュアリー市場は、旅行などの体験やサービスを重要視する「コト消費」に人気が移ってきた。主役は時間とお金に余裕のあるシニア層だ。

オンライン旅行会社世界最大手のエクスペディアのグレッグ・シュルツ上級副社長は「日本は素晴らしいラグジュアリー市場だ」と説明。従来、中心となってきたモノ消費の発達に「旅行市場はまさに追いつこうとしている」と述べた。

シニア層を取り込もうと、鉄道会社も工夫を競う。人口減少にあえぐ地方路線に趣向を凝らした列車を走らせ、富裕層やシニア層などの新たな顧客を開拓するとともに沿線の活性化を狙う。JR九州が2013年に運行開始した日本版オリエント急行「ななつ星in九州」が火付け役となった。

海の旅

JR西日本は6月から豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」の運行を始めた。山陽・山陰地方を観光しながら巡る5つのコースがある。10両編成で3クラスの客室を設け、最大定員は34人。10~11月出発分の予約平均倍率は17.2倍で、前回の5.5倍を上回る人気だ。最も料金が高いのは世界的にも珍しい1車両丸ごと使った「ザ・スイート」で、2泊3日の2名1室利用で1人125万円だ。JR東日本も5月から「トランスイート四季島」の運行を始めた。

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最終更新:7/18(火) 7:51
Bloomberg