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銀行の買収ブーム再来か?中規模銀行がターゲットか――米国

7/19(水) 6:10配信

ZUU online

米国の銀行で資本が過剰蓄積されていることから、投資で成長を促す目的で買収ブームが再来するのではないかとの見方が生まれている。

CNBCなどが報じたもの。資産に対する株主資本比率(総資本に対する株主資本の割合)は1938年と同じ水準となる約11%に達しているほか、1992年以来初めて全株式資本が現金投資されるという状況が過去4年にわたり続いている(連邦預金保険公社調査)。

■大手34行がストレス・テストの基準を上回る好調ぶり

米国の銀行にこれほどまでの資本が余っている理由を、ラファティ・キャピタル・マーケッツのエクイティ・アナリスト、リチャード・ボックス氏 はふたつ挙げている。

2013年、15年、16年と過去最高記録の利益を上げたうえに、自己資本比率の強化や政府系証券などへの投資を政府に強要されたためだ。

その結果、6月に発表された年次ストレス・テストでは、大手34行すべてが基準を上回る快挙を成し遂げた。ストレス・テストは金融危機再発防止目的で導入された健全性審査で、深刻な景気後退に対して銀行が十分な資本を確保できるかどうかを試算する。

7回目となった今回のテストは、「失業率10%、住宅価格の暴落、EU圏の景気後退」という例年より深刻な想定で実施された(CNNより)。

米連邦準備理事会(FRB)は米銀行の好調ぶりを、自己資本比率の強増と、2008年のリーマンショック前後に発生した融資問題を処理してきた成果と述べた。

■過剰資金の米銀行 利益・成長促進には買収が効果的?

ここで新たに持ちあがるのが、「過剰資本をどうするか」という議論だ。

JPモルガン・チェースやシティ・グループといった大手から、コメリカ銀行などの比較的小規模な銀行までが、利益の100%以上を配当や自社株買戻に投じると報じられているが、USバンコープ、ブランチ・バンキング・アンド・トラスト(BB&T)、M&T銀行、フィフス・サード銀行など、買収を望んでいる銀行も少なくはないという。

健全性は高くとも、利益を拡大し続けるためには確固たる成長基盤が必須である。そうした観点から、買収ブームの再来が予期されてもおかしくはない。

トランプ政権下の財務省や国家経済会議には、多数の元銀行家が任命されている。新政権の金融規制当局は、従来の型にはまった価値観ではなく、銀行寄りの価値観を全面に押しだした金融政策を打ちだしていくだろう。M&Aには有利な環境となりそうだ。

ボックス氏の予想では、顧客数の多く預金が過剰に蓄積されている中規模の銀行が、大手による買収の主要ターゲットとなりそうだ。

最終的に実現しなかったものの、英国のWorldpayの買収をJPモルガンが検討していたことなども、買収ブームが始まる兆候的な一例かも知れない。

しかし新政権が融資やストレス・テストの緩和を唱えている 点も軽視できない。規制強化の手網が緩まれば、風向きががらりと変わる可能性は十分に考えられる。
(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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最終更新:7/19(水) 6:10
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