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自転車が普及していない韓国・ソウルで公共シェアサイクル「タルンイ」は利用されるのか

7/19(水) 6:50配信

ZUU online

ソウル市のシェアサイクル「タルンイ」が7月7日から会員登録が不要となり、旅行者にも利用の幅が広がった。これまでは住民登録番号等を持たない非居住者は利用が困難だった。

■自転車シェアリング

タルンイはソウル市が2015年10月15日に運営をはじめた自転車レンタルサービスで、東京で今年1月に始まった自転車シェアリング広域実験とは性格が異なっている。

東京の自転車シェアリングは、30分ごと課金で最大24時間利用できる1回会員もあるが、月に何回利用しても最初の30分は無料となる月額会員や同日中の利用制限はない1日パスは、通勤・通学や出張、旅行など自転車を保有していない人がシェアする仕組みで、貸出・返却スポットはオフィス街や住宅地に集中している。

ソウル自転車は1時間券または2時間券を購入して利用する。貸出返却スポットは地下鉄駅や人が多く集まるエリアに設置されており、地下鉄駅から目的地まで自転車を利用する公共交通機関の性格が強い。

■自転車に乗らない韓国人

韓国では自転車は普及していない。2009年1月6日に李明博政権(当時)がグリーン交通網政策を掲げた時点の自転車保有数は日本の8700万台に対して、韓国は800万台に過ぎなかった。人口差は2.5倍強。500万人と推定されている韓国の自転車人口の多くがレジャーやスポーツとして自転車を利用している。

韓国で自転車が普及していない理由は主に3つある。

ソウルは坂が多い。市内に小高い山が点在しており、平坦なエリアはごく一部に限られている。

自転車はマイナスイメージが持たれていた。自動車やオートバイを買うお金のない人の乗り物とみなされ、プライドが高い人たちは長い間、敬遠してきた。

1988年のソウル五輪を機にモータリゼーションが急速に発達し、自転車が通行できる道路やスペースは限られる。幹線バスや支線バス、住宅地の隅々を通るマウルバスなど安価で利用できる公共交通機関が整備され、自転車を利用する必要がない。

■環境にやさしい自転車が見直される

2000年代になると自転車はスポーツとして人気がではじめた。2009年、4大河川整備事業を柱に雇用創出を目指すグリーン・ディール政策に、ソウルから釜山に至る自転車道の整備が加えられた。自転車道は2012年4月22日全通している。

韓国鉄道公社線やソウルメトロなど、すべての編成に自転車の積載スペースが設けられ、目的地まで電車や地下鉄で移動。サイクリングを楽しんだあと、再び自転車を持ち込んで自宅に帰る。週末にはサイクリングスーツに身を包んだ老若男女が自転車を抱えて地下鉄に乗り込む光景を目にする。

■自転車を取り巻く課題

スポーツサイクルや坂が多いソウルで人気の電動アシスト自転車は高額で、盗難リスクが高い。防犯登録などの有効な手段はなく、自宅の玄関やベランダで保管する以外にないのが実状だ。

環境に優しく、健康増進にも役立つ日常の足としてはじまったソウル自転車「タルンイ」も問題を抱えている。

使用時間が1時間または2時間で、30分ごとに超過料金が発生し、4時間を超えて返却がなされないと警察に盗難の通報がなされる。自転車を利用することを想定していないソウル市内の道路は通行区分が曖昧だ。歩道は狭く、段差が多い。主要道路に並行する歩道は途切れ、階段になっている箇所も多い。車道は路肩に駐車している自動車が多く、自転車が通行するスペースはない。韓国の自動車の運転は概して荒く、危険でもある。

会員登録が困難な非居住者もレンタル自転車「タルンイ」を利用できるようになったが、道路環境が自転車の通行を想定していない現状で利用促進を図るのは難しい。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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最終更新:7/19(水) 6:50
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