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「ソーシャルワークの一般化めざす」 ソ教連の白澤政和会長に聞く

7/19(水) 10:53配信

福祉新聞

 ソーシャルワーク(SW)教育を担う三つの団体が合併し、4月1日に日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連)が発足しました。少子化を背景に養成校での学生確保が困難になる中、社会への発信力を強化するのが狙いだと言います。地域包括ケアシステムや共生社会が社会保障分野の政策目標に掲げられる中、どのような人材を養成するかも問われます。そこで5月にソ教連会長に就任した白澤政和・桜美林大大学院教授に抱負を尋ねました。

     ◇

--合併の狙いは。

 白澤 3団体の合併前は、それぞれの目的に特化した活動ができるメリットがある半面、外部から見ると分かりにくい、対外的な交渉の際に発信力が分散されるといったデメリットもあった。

 総じて言えば「ソーシャルワーク」の旗のもとで全体を見て動くことが弱かった。一方、合併すればそれぞれの機能を発展させ、「1+1+1」を3ではなく5にも10にもすることができる。

 5や10になった力を何に注ぐかと言えば、これまで「相談援助」の意味で使われることが多かった「ソーシャルワーク」という言葉を一般化することだ。ソーシャルワークのイメージを福祉六法の枠から広げたい。

 実際に、学校や司法といった分野でもソーシャルワークという技術が有効に活用されている。社会が見る目を意識してソーシャルワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士)を養成しないといけない。

 社会にとってソーシャルワークは不可欠な専門技術だが、ソーシャルワーカー養成の現状は危機的だ。

--具体的にどう取り組んでいくか。

 白澤 目指す姿は「個の支援」にとどまらず、「家族支援」や「地域づくり」のできるソーシャルワーカーだ。地域に根ざした活動を促す点では、厚生労働省が提唱している「我が事・丸ごと地域共生社会」と一致する。

 社会福祉法人が公益的な取り組みを進める上でもそうした人材が必要不可欠なはずだ。

 これらを踏まえ、より実践力のあるソーシャルワーカーを養成しようとすれば、実習時間の拡充は避けて通れない。例えば社会福祉士養成では現在、最低180時間必要だが、台湾や中国の例をみると最低400時間だ。

 実習そのものも目指す姿に照らし合わせ、多職種連携などをより意識したものに改めなければならない。雇用側のニーズを考えれば、介護や保育についても最低限の知識は身につけておくべきだろう。

 厚労省によれば、2017年度は社会福祉士のカリキュラムを見直すことになっている。3団体が合併した効果を大いに発揮して積極的に発信していく。

--ソーシャルワーカーを目指す学生をどう増やしていくか。

 白澤 先に触れた通りソーシャルワーカーのイメージを広げることに加え、国家試験の合格率を上げること、介護福祉士など他の資格とのダブル取得を推進することが大切だ。
 アジアの国のソーシャルワーカー養成と単位互換を進めることなどにより、留学生を増やしていくことにも取り組んでいきたい。

 これらは養成校に入学する学生確保という点で「入口」の問題だが、卒業時の「出口」の問題も重要だ。

 特にソーシャルワーカーを福祉事務所で雇うよう、もっと促していかなければならない。働く分野によっては非正規雇用も多いので、労働条件の改善も働き掛けていく。

 そのためには雇用後の効果を証拠として示す研究が必要だ。この点でも3団体合併の効果を発揮していく。

--〈団体の概要〉--

◆一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連)=日本社会福祉士養成校協会(社養協)を存続法人とし、日本社会福祉教育学校連盟、日本精神保健福祉士養成校協会がそれぞれ解散・合併する形で2017年4月1日に発足した。同日現在の正会員は280校。

◆一般社団法人日本社会福祉教育学校連盟=1955年5月に日本社会福祉学会から分離独立した日本社会事業学校連盟を前身とする、社会福祉学の教育の質的向上を図る学術研究団体。正会員144校(解散時)。

◆一般社団法人日本社会福祉士養成校協会=日本社会事業学校連盟と社会福祉士養成施設協議会を母体として2001年6月に設立。社会福祉士養成教育の充実と振興を図る養成団体。正会員は262校(合併前)。

◆一般社団法人日本精神保健福祉士養成校協会=精神保健福祉士養成教育の充実と振興を図ることを目的に、2004年11月に任意団体として設立、09年4月一般社団法人化した養成団体。正会員163校(解散時)。

最終更新:7/19(水) 10:53
福祉新聞