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現金なんて古い? 中国の経済特区で見た日常生活

7/19(水) 6:03配信

ホウドウキョク

発展を支える「経済特区」制度

加計学園をめぐる問題が起きてから、「特区」という言葉が悪者のようになっている。認定の経緯については政府側に説明責任があるとしても、「特区」そのものが悪いとは言い切れない。

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中国にある「経済特区」と言われて、すぐに名前が思いつくだろうか?

その代表格が深せん。数十年前までは小さな漁村だったにも関わらず、今は世界中からスマホートフォンやPC関連の商品が集まる大都市として、世界に類を見ない急発展を遂げている。

この発展を支えたのが1979年に設置が決定された「経済特区」だ。外資が入りやすいように中国の国内法を適用せず、税制上の優遇や規制緩和などの特別な措置で運営されている。これにより、隣接する香港との交流が活発となり、中国全土から人材が流入している。

中国で最初に設置された4つの経済特区が、深せんのほか、珠海、汕頭、厦門という3つの都市だった。

近年注目されているのが、福建省の厦門(アモイ)だ。台湾島との距離は、台湾海峡を挟んで200キロほど。台湾地区に位置する金門島にいたってはわずか2.3キロという近さだ。深せんが香港からのゲートウェイだとすると、厦門は台湾から「中国大陸市場」への足がかりとなっている。

厦門を拠点に世界中にサービスを展開するIT関連の中国企業の役員に話を聞いてみたところ、この場所で起業する魅力を次のように語った。

「厦門には良い人材がたくさんいます。厦門はスタートアップの市場としてはあまり知られていませんが、それが逆に他の大都市よりも人を集めやすくなっています」

中国の「キャッシュレス生活」

中国と言えば、人口13億人を超える「巨大なガラパゴス市場」だ。ガラパゴス市場なのは、「グレートファイアウォール」と呼ばれる中国政府によるネット規制によるもの。Google、Facebookといった世界中で当たり前のようになっているサービスも基本的には使えないため、類似した企業やサービスが独自の進化を遂げている。

世界でも進んでいると言われるのが、「キャッシュレス生活」だ。飲食店やコンビニ、駐車料金、路上の弁当販売まで、現金を使わずにスマホで決済する。

その牽引役が「Alipay(アリペイ)」と「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」の2つ。厦門の街中でも、様々な場所で、この2つのQRコードを見かける。
アリペイ(支付宝)は、中国最大のネットショッピングモール「タオバオ(淘宝)」などを運営するアリババグループが提供するオンライン決済サービス。中国の消費者からの信頼度は高く、ブランド力は圧倒的となっている。

一方、ウィーチャットペイ(微信支付)は中国大手IT企業のテンセントが展開するオンライン決済サービス。ウィーチャット(微信)とはLINEのようなメッセージと通話のアプリで、登録ユーザー数が11億人を超えるという強みを持っている。

私も、ウィーチャットをダウンロードして、自動販売機で飲み物を購入してみた。

通常は中国に銀行口座がないとアプリに入金できないため外国人観光客には使いにくいが、個人間での送金が容易にできるという特徴があり、中国在住の方に10元(160円)を送ってもらって利用。

欲しい飲み物を選択すると、自動販売機の画面にQRコードが表示される。それをスマホで読み取り、アプリ上の購入ボタンを押せば飲み物が出てくるという簡単な仕組みだ。飲み物で出てくると同時に、メッセージアプリに支払い明細が届いた。

このオンライン決済によって爆発的に伸びているのがシェアサイクルだ。厦門のあちらこちらで見かけるQRコード付きの自転車にスマホをかざせば解錠されて利用可能。日本のシェアサイクルのように専用駐輪場に返すのではなく、どこでも乗り捨てができ、利用時間に応じて支払いがされる。

値段も30分で0.5~1元(1元は約16円)と安いことから、中国の様々な都市で導入され、利用する人も参入する企業も増え続けている。現金を使っていたら成立しないサービスだ。

普段は日本に住んでいる中国人女性に話を聞いてみたところ、「中国へ帰ってくると、お財布の中にはほとんど現金が入っていない状態で出歩きます。なので、日本でお金を取り出すのが不便に感じます」と笑った。

ただ、「現金はちょっとしか持ち歩きませんが、ウィーチャットペイにチャージしてある額はかなりです。気軽に払えるので、思っていた以上にお金を使っていることがあります」とも付け加えた。

「ガラパゴス市場」の中で新たなサービスが次々と登場し、成長を続ける中国。手放しに称賛する必要も、そのまま真似する必然もないが、同じ「ガラパゴス市場」と言われ続けた日本にとって、学ぶべき点は多いかもしれない。

最終更新:7/19(水) 6:03
ホウドウキョク