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東京で見たいロンドンを沸かせた山本篤の大ジャンプ ~世界パラ陸上観戦記2~

7/19(水) 10:00配信

カンパラプレス

 18日(現地時間)、8時前にホテルを出ると、耳にしていたイヤホンが外れそうになるほど強い風が吹いていた。約2時間半後には、リオデジャネイロパラリンピック銀メダリスト山本篤(スズキ浜松AC)が出場する男子走り幅跳び(T42)が行なわれることを考えると、この風が競技にどう影響を及ぼすのかと気にかけながら地下鉄に乗り、「ロンドンスタジアム」へと向かった――。

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プラスの兆候だった「大ファウル」の真相

 スタジアムに到着し、メディアルームへと向かう前に、隣接しているサブトラックをのぞくと、運よく山本の姿が見えた。ひとり、ゆっくりとトラックの芝の上を歩く姿は、百戦錬磨のベテランの風格が漂っていた。集中力を高めながら、約2時間後に迫った「勝負の時」を待っているように見えた。

「WORLD Para Athletics CHAMPIONSHIPS LONDON 2017」(世界パラ陸上競技選手権ロンドン大会)競技5日目、現地時間10時半過ぎに男子走り幅跳び(T42)が始まった。前日に続き、この日も幼稚園や小学校から数多くの子どもたちがスタジアムを訪れ、スタンドは賑わっていた。

 その子どもたちの集団に押しのけられるようにして、私の前の席に移動してきたのは日の丸を持った日本人の団体だった。
「現地在住の方たちだろうか……」
 そう思って「こんにちは」と声をかけると、なんと日本から駆け付けた山本の家族やその友人の応援団だった。誰もが期待に胸を膨らませている様子が見てとれ、楽しそうな雰囲気が伝わってきた。

 相変わらずの強風の中、競技がスタートした。ライバルは2人。昨年リオの銅メダリストDaniel Wagner(デンマーク)と、同4位で6月に20歳になったばかりの成長著しいLeon Schaefer(ドイツ)。彼らとの三つ巴でのメダル争いが予想され、実際にその通りの展開となった。

 1本目、Wagnerが6m20のシーズンベストをマークすると、Schaeferも6m18を跳んだ。山本も1本目から6mジャンプでライバルたちにプレッシャーをかけたいところだった。ところが、山本は踏み切り板を思い切りオーバーし、ファウルとなった。これまでこれほど大きな踏み切りのミスは見たことがなく、何が起きたのか、しばらくの間のみこむことができなかったほどだった。

 しかし、山本自身に焦りはなかった。それはマイナスではなくプラスの兆候だったからだ。山本は前日の100m予選でシーズンベストをマークするほど、現地入り後、走りが良くなっていた。さらにこの日の風で、助走に勢いがついていたのだ。

 実は本番前の練習でも踏み切りが合っていなかったという。1本目はふだんではあり得ない逆足での踏み切りになってしまったほどだった。その後、2本目、3本目で調整は試みたものの、逆に足を合わせてしまっている感じがあったため、本番での1本目はまず、これまで通りに跳んだのだという。すると、自分でも驚くほど助走に勢いがあり、誰が見ても明らかなファウルとなった。これが事の真相だった。

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最終更新:7/19(水) 10:00
カンパラプレス