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「トップインタビュー」〈三菱アルミニウム・浜地社長〉=3年で100億円投資し圧延効率化

7/19(水) 6:05配信

鉄鋼新聞

――今期の需要環境をどうみていますか。
 「飲料用缶材や自動車熱交換器用板材は堅調だ。箔についてもリチウムイオン電池(LiB)が車載、民生向けともに伸びる可能性が高く集電体や外装材(パウチ)出荷が好調に推移するだろう。電解コンデンサー向けも自動車の電装化の流れを受けて車載向けが期待できる」
 「押出製品は国内ではトラックのアオリやバンパー材といった自動車関係が非常に忙しく、設備の稼働率は高まっている。また自動車熱交換器用多穴管は国内、米国が堅調な一方で、タイや中国は生産量が減少している。インドは稼働を始めてまだすぐという段階なのでこれから徐々に伸びていくだろう」

――今期から3カ年の中期計画がスタートしました。全体のテーマは。
 「中期計画を策定するに当たり、社内で“10年後の三菱アルミニウムのあるべき姿“を議論し、“地球温暖化の中で拡大するアルミ需要を捕捉する“という結論に至った。具体的には、熱交材への対応強化や自動車軽量化に寄与する部材の開発、電気自動車に利用されるLiB材開発が上がった」
 「これらの製品に経営資源を投入していく考えだが当社はリーマンショック以降、事業のスリム化を進めた期間が長くあった。中長期的な成長には、設備投資や従業員の増員などの必要があるため、この3年間で飛躍のための基盤を整備していく」
――3年間で100億円を国内に投じる計画です。
 「何か新しい設備に大規模投資する計画はなく、圧延の高速化、効率化が中心。具体的には2ケタ億円を投じて熱間粗圧延機のモーターや駆動部を改造するほか、鋳造ラインも強化する。現在5基ある箔圧延機もLiBやPTP箔を効率よく造れるように改造し、スリッターやセパレーターは増設する。3年かけて順番に投資を実行していくが、板や箔の需要が想定よりも伸びるようであればさらに投資を上積みする」
――国内の生産能力を大きく伸ばすような投資は。
 「現状の富士製作所はもうスペースがないのが実情。板生産量は年12万トン強という水準だが、生産の手間が掛かる熱交クラッド材の比率を高めていくと、アウトプットの伸びは期待しにくい。限られた能力の中で、当社が競争力を生かせる部分にシフトして利益率を高めていく」
――どのような分野を想定していますか。
 「板製品で言えば前述のクラッド技術を活用した自動車熱交材だし、箔製品はLiB材料だ。押出製品については自動車熱交用多穴管の次の核を育てることが重要。オールアルミエアコンへの取組みや自動車のVVTなどの精密押出材、バンパーレインフォースメントなどの自動車構造部材への取り組みを強化する」
――海外市場への取り組みは。
 「米国で自動車熱交用板材を造るために特定の企業と水面下で協議をしている。米国市場は圧延メーカーが自動車パネルへシフトしたため、熱交材サプライヤーが足りていない。合弁で工場運営に参画し、ユーザーの現地調達ニーズに応えたい」
 「タイではバロパコン社に対し、新たに5年間の技術供与契約を結んだ。設備の制約があり、クラッド材は造れないが、タイに進出している日系エアコンメーカー向けに材料供給を進めていく。一方で箔の海外展開は考えていない」
 「自動車熱交用多穴管でグローバル化が進んでいる押出製品は地域によって戦略が異なる。中国やタイは既存製品を日系ユーザー以外にも拡販するほか、エアコン部材の提案も進めていく。またタイでは精密押出製品でアプローチしていく。インドは既存戦略を踏襲し、拡大する多穴管需要に合わせて設備増強をしていく。米国では熱交用多穴管販売に注力しつつ、将来的には自動車構造部材の生産体制を整備していきたい」
――立花金属工業との連携について。
 「富士製作所よりも稼働率が低い状況なので、トラック部材など移管できる明細は立花金属に移していく。また富士製作所にはない引抜工程があるので、自動車材向けに製品開発を目指している。現時点で一緒になるということは考えていない」
――子会社のエムエートレーディングの役割は。
 「ここは材料売りと熱交加工品、自動車の押出加工品の3事業が大きな柱。加工品関係はこの中期計画でも重要なテーマにかかわっているので、各社に分散していた開発者を三菱アルミに集約し、開発力を強化していく」(遊佐 鉄平)

最終更新:7/19(水) 6:05
鉄鋼新聞