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越川優 さようならの代わりに。

7/19(水) 17:30配信

バレーボールマガジン

第66回黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会は、JTの連覇で終わった。この大会を最後にインドアからビーチバレーに転向する元全日本代表主将・越川優は、MVPにあたる黒鷲賞を受賞。8チーム中7位に沈み、入れ替え戦に回ったV・プレミアリーグからの鮮やかな逆転劇。いかにも彼にふさわしい終わり方だ。

「でも、しょうがないんですよ。優さんは、そういう星の下に生まれた人だから」

とは、彼がJTに「優勝請負人」として請われて移籍し、その要望通りに創部74年目の歴史的初優勝を果たした、V・プレミアリーグ2014/15決勝直後の記者会見での、司令塔深津旭弘の言葉だ。どういうことかというと、深津は本当は、この歴史的ウィニングポイントを、その試合限りで勇退を決めていた小澤翔にとらせたかったのだ。セッターは意外と、そういうことを考えてあげている。青山繁が引退したときの阿部裕太も、北京五輪の出場権を獲得したときに荻野正二にあげた朝長孝介も。

だが、マッチポイントで回ってきたのは越川のサーブ。彼の最大の武器であり、バレーボールというチーム競技の中で、唯一、一人で完結することができるこの「サーブ」というプレーで、試合は幕を閉じた。越川のサーブは、サントリーのコートに吸い込まれていった。そこに司令塔の思惑が入り込む余地はなかった。マッチポイントで、もしくは競り合った場面で越川にサーブ順が回ると、対戦相手は常に冷や汗をかいてきた。そのサーブ順が、74年の悲願を達成する瞬間に回ってくる。よくもまあ、できすぎた話だ。

だから、今大会の優勝と黒鷲賞も「そういう星の下に生まれてきたんだから、しょうがない」というしかない。越川自身がコメントしたように、この大会で勝利しようと特別な思いを持っていたのは、もちろん越川だけではない。黒鷲旗はシーズン締めくくりの大会だ。2冠を制していた東レは3冠を当然狙っていたし、リーグで思うような成績が上げられなかったチームにはリベンジの大会でもある。そして、大会を最後にバレーから離れる選手、チームを離れる選手もたくさんいる。

決勝で対戦したパナソニックは、全日本代表の大黒柱、清水邦広が4ヶ月のリハビリを、この大会に照準を合わせてこなしてきていた。清水の出来は素晴らしかった。5点のビハインドを追いついたり、最終セットJTのマッチポイントで2枚ブロックを抜いて決めたスパイク。最後の最後まで手に汗を握る展開だった。でもしかたない。越川は、そういう選手なのだから。

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