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転機はリーマン報告書-空港運営で富築くロシアの「ロックフェラー」

7/19(水) 6:32配信

Bloomberg

ドミトリー・カメンシチク氏から何かを奪うのは難しいと、最初に知ったのはモスクワの犯罪組織かもしれない。

ソビエト連邦崩壊から間もない1992年、同氏はモスクワ郊外の荒れ果てた空港から国際貨物便を手配することで荒稼ぎしていたが、2人組の強盗が同氏の事務所に押し入り現金を要求。当時から働いていたエレーナ・タルシスさんは次の瞬間に起きたことを決して忘れない。

「強盗が私の息子の頭に銃を突きつけた」と話すタルシスさんによれば、武道の達人であるカメンシチク氏は強盗を一突きし、同僚と一緒になって銃を取り上げたのだという。

アマチュアのスタントパイロットだったカメンシチク氏(49)が犯罪組織やプーチン政権下の司法当局と闘いながら、ドモジェドボ国際空港の単独オーナーに就き、自身の地位を守っているのは、こうした生存本能があったからかもしれない。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、同空港を欧州で最も忙しいハブ空港の1つに押し上げたカメンシチク氏の資産は30億ドル(約3400億円)。同氏が次に目指すのは国営アエロフロート・ロシア航空が本拠とするシェレメチェボ国際空港からロシア最大の空港というタイトルを奪い返すことだ。

ブルームバーグのモスクワ支局で2時間に及ぶインタビューに答えたカメンシチク氏は、「ドモジェドボは恐らくロシアで最も監査の厳しい1社だ。われわれが生き残る唯一の道は法律を注意深く順守することだ」と語った。

リーマンの結論

カメンシチク氏にひらめきが訪れたのは、2008年の金融危機で破綻した米リーマン・ブラザーズのおかげだ。エリツィン政権時代、1990-93年に合計便数が激減したモスクワの主要4空港の再生の青写真を描くためリーマンが起用された。同社の結論はクレムリン(大統領府)の南東45キロにあるドモジェドボが圧倒的に有望というもの。周囲に何もないというのがその理由だった。

「この調査が自分の運命に影響を与えた。空港ビジネスにおける大きな要因は成長の見通しであり、ドモジェドボはまさにそれを備えていた」と同氏は話した。当時交渉していた空港当局者の事務所でこの188ページに及ぶ報告書を知ったという。

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最終更新:7/19(水) 6:32
Bloomberg