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問い合わせ対応から接客へ 広がるチャットボット

7/20(木) 11:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 人工知能(AI)を活用して問い合わせ対応などを行うチャットボットサービスが増えている。ユーザーの質問に適切に答えたり、自然に会話したりするサービスなどが話題だ。いま、チャットボットサービスはどのように発展しているのか。6月に東京ビッグサイトで開催された「AI・人工知能EXPO」で探った。

【NTTドコモはチャットボット自動作成ツールを開発】

●満足度の向上につなげる

 サイバーエージェントのチャットボット事業会社、AIメッセンジャーは、2016年7月にチャットボットサービスの提供を開始した。AIによる自動応答だけでなく、有人対応に力を入れていることが特徴。サービス開始から1年で数十社に導入されたという。

 問い合わせに対してAIで自動応対するサービスは、カスタマーサポートにかかるコスト削減に有効だ。しかし、AIメッセンジャーのサービスはそれだけではない。ユーザーの満足度向上を目指しているというが、具体的にどのようなことを行っているのか。

 自動で応答できない複雑な問い合わせについては、沖縄にいるオペレーターが対応する。ユーザーからのネガティブな反応を検知すると、迅速にオペレーターに通知して有人対応に切り替える「会話破綻アラート」という機能も設けている。また、オペレーターによる複雑なやりとりをAIに学ばせることで、AIが対応できる問い合わせの幅を広げていく。複雑な質問に対応し続けることで、難しいやりとりも自動でできるようになり、ユーザーの満足度向上につながる。

 チャットボットのツールを提供するというよりは、「AIを活用して、カスタマーサポート業務を代行する」(担当者)イメージだ。自動化だけが目的ではなく、サービス向上のためのツールになっている。

●顧客の動きを察知して声掛け

 ビッグデータ分析などを手掛けるALBERT(アルベルト)は4月、チャットボット型接客ツール「Proactive AI」の提供を開始した。問い合わせに自動応答するだけでなく、ユーザーに声掛けをしたり、商品をおすすめしたりできることが強みだ。

 同社の主力サービスは、インターネット通販サイトでおすすめ商品などを表示するレコメンドエンジン「Logreco(ログレコ)」。培ってきたデータ分析ノウハウをチャットボットに生かした。

 “接客ツール”という名称の通り、店舗での接客のようなチャットボットだ。機能の1つ「プロアクティブサポート」は、ユーザーがWebサイトを離脱する前に、先回りして声掛けをする機能。商品詳細ページを何度も閲覧して迷っているような動きがあれば、それを察知して、「お探しの商品は見つかりませんか」などと話し掛ける。

 「対話型商品検索」機能では、ユーザーと会話をしながら商品を提案する。単なるキーワード検索ではなく、目的や価格などを合わせて相談すると、条件に合う商品を判断し、ユーザーごとに適切な順番で表示する。

●手軽にチャットボットを導入

 日本ではチャットボットの導入企業はまだ多くないが、これから拡大していきそうだ。なぜなら、チャットボットによってユーザーからの問い合わせが増えて、満足度が上がり、コストも下がるかもしれないからだ。

 電話やメールの問い合わせは時間や手間がかかるが、チャットという選択肢もあれば、問い合わせに対する心理的障壁は低くなる。対応する側もオペレーションしやすい。また、問い合わせの多くを占める「よくある質問」を自動対応にしたり、1人のオペレーターが複数客に対応したりできれば、コストメリットもある。

 一方、チャットボットを導入するには、質問と回答の作成などに時間がかかるシステムも多い。手軽に導入したい、という要望に応えるサービスをNTTドコモが開発した。必要なキーワードをまとめた表形式のデータを準備するだけで、チャットボットを自動作成するサービスだ。作成と維持管理のコストを約50%削減できるという。

 実証実験として、ABC Cooking Studio(ABCクッキングスタジオ)のチャットボットを作成。レシピを紹介するサービスとして、モニター会員向けにトライアル提供されている。レシピは約150種類あり、冷蔵庫にある食材などのキーワードを入力していくことで絞り込んでいく。

 会話するように柔軟に対応するチャットボットではないが、「まずは導入してみたい、という要望に応える」(担当者)サービスだ。2017年度内の商用化を目指す。チャットボットの広がりによって、商品やサービス内容などに合わせて選べるサービスも増えているようだ。