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ペン書きの“点”を識別タグに、NECの画像認識技術「マイドット」

7/20(木) 8:10配信

MONOist

 NECは2017年7月19日、東京都内で会見を開き、市販のデコレーションペンで書いた直径約1mm程度の点(ドット)をカメラで撮影し、個々のドットを個別に識別できる技術「マイドット(識別ドット)」を開発したと発表した。バーコードが貼り付けられない超小型の電子部品の識別タグやモノの貸し借り/持ちだしの物品管理タグなどへの応用を想定している。今後は、マイドットを活用するサービス事業者などとの連携を進め、早ければ2019年内の事業化を目指す。

【1200点のドットを個別識別する様子などその他の画像】

 マイドットは、市販のデコレーションペンなどに用いられている微粒子入りインクで書いたドットをカメラで拡大撮影した場合、ドット内の微粒子が作り出す微細な模様が唯一無二なものになっていることを利用した技術だ。

 画像認識の一般的な照合アルゴリズムは、角や縁といったエッジが明瞭な特徴点を抽出し、その周辺の局所的な暗→明あるいは明→暗といった明暗の「方向」で向きを合わせた上で、その部分の模様が同一かどうかを照合する。しかし、マイドットの微粒子が作り出す微細な模様の画像は、明暗の「方向」が定まりにくく、照合に適さない特徴点が大量に抽出されてしまい、全ての特徴点を照合すると時間がかかる上に精度のよい識別結果は得られないという課題があった。

 今回の発表では、模様から抽出されたそれぞれの特徴点周辺における明暗の偏り方を数値計算し、照合の際に必要な位置決めの基準となる「方向」の安定性を評価するアルゴリズムを開発した。これを基に安定的に「方向」が取れる特徴点を絞り込み、実際に照合できるようになり、高速かつ高精度な識別が可能になったという。

 マイドットの最大の特徴は、市販のペンでドットを書くだけという手軽さでモノにタグを付けられることだ。開発を担当したNEC データサイエンス研究所 主幹研究員の石山塁氏は「バーコードなどのタグ付けが難しく、適用できなかった多様なモノへIoT(モノのインターネット)の活用を拡大できる」と強調する。

 なお、NECはマイドットの認証サーバを提供するものの、マイドットを用いたサービスについては提携するサービス事業者が提供することになる。

●実用化に向けた4つのポイント

 マイドットの実用化を進めていく上で重要なポイントが4つある。1つ目は、マイドットのランダムな粒子が作り出す微細な模様が、どの程度“唯一無二”なのかだ。手書きのドットだけでなく、機械を使って同じ筆圧で書き続けたドットであっても、全く同じ微細な模様ができてしまわないようでなければ、識別タグとして利用することは難しい。

 会見では、手書きの1200点のドットを個別識別できるデモを披露して問題のないことを示した。さらに、石山氏は「機械で書いた約1万点のドットについても個別識別できることを確認している。手動でも機械でも、ドットのインク内の粒子が作り出す微細な模様を同じにすることはかなり難しい。実験で確認してはいないが、数十万点レベルまで個別識別が可能ではないかと見ている」と説明する。

 2つ目は、マイドットの識別速度だ。石山氏は「使用するコンピュータの処理能力に依存する。デスクトップPCであれば、1000点のマイドットのデータベースから1点のマイドットを識別するのに1秒かかる。クラウドの処理能力を利用できるなら、1万点から1点の識別を1秒で完了できる」と語る。なお、手書きの1200点のドットを個別識別するデモでは、ノートPCを使っていたこともあり1点の識別に2秒弱かかっていた。

 3つ目は、マイドットの撮影/識別の手軽さだ。今回の発表では、マイドットの撮影/識別に用いるカメラとして、市販の顕微鏡カメラを用いていた。これらの顕微鏡カメラは、イメージセンサーの画素数はVGA(640×480画素)レベルだが、10~50/100倍のマクロズームが可能なレンズを備えている。

 しかし実用面で言えば、多くの人が所有するカメラデバイスであるスマートフォンで撮影/識別できる方がより手軽さを高められる。「スマートフォンのカメラのレンズではマクロ性能が不足しているため、現時点では顕微鏡カメラが必要だ。しかし、ドットの直径を数mm程度まで大きくすれば、既に相当な画素数になっているスマートフォンのカメラの性能をそのまま生かせるようになる」(NECの説明員)という。

 4つ目はセキュリティになる。会見では、スマートロックに対応する鍵としてマイドットを利用するデモを披露していたが、微細な模様を簡単に複製できるようでは、安全な識別タグとして利用することは難しい。石山氏は「通常のコピー機では微細な模様を再現できないので、一定レベルのセキュリティは確保できる」と述べている。

最終更新:7/20(木) 8:10
MONOist