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京王電鉄が16年ぶりに新型車両「5000系」を導入する理由は?

7/20(木) 20:05配信

All About

◆追加料金を払って、座って通勤したい要求に各社が応えるように

7月19日、京王電鉄は16年ぶりとなる新型車両5000系を報道関係者に公開した。最大の特色は、クロスシートにもロングシートにもなる転換座席(鉄道会社によって、デュアルシート、マルチシートなど呼称は様々)で、ロングシートとしては、従来からの車両に混じって活躍する一方、夕方から夜間にかけての通勤客の退勤時には、クロスシートの座席指定列車として新宿から京王八王子、橋本方面へ走ることになっている。

近年、通勤客の間では、追加料金を払ってもいいから、座ってゆったりと電車に乗りたいという要求が強まっていて、鉄道各社は、そうしたニーズに応えるため様々な車両を投入してきた。ひとつは、元々観光客向けの列車だった有料特急(小田急ロマンスカー、西武レッドアロー、東武スペーシアなど)を通勤客用として活用することであり、もうひとつは、通勤客用の座席指定列車を新たに導入することである。

通勤客用の座席指定列車の場合、ロングシートのままでは追加料金はとれないであろうから、クロスシート車とするのが必然であるが、一部の時間帯のみに新たな車両を製造するのはコスト面で問題がある。そこでロングシートにもクロスシートにもなる両刀使いの車両が考え出されたわけだが、首都圏で最初に導入したのは、東武東上線のTJライナー(2008年より運転開始)である。今年になって、西武鉄道でSトレインがデビューし、京王は3例目ということになる。

◆それほどの長距離とは言えない京王電鉄でなぜ今導入する?

京王電鉄の場合、新宿~京王八王子、新宿~橋本ともに特急や準特急での所要時間は40~50分程度であり、それほどの長距離とは言えない。それゆえに、どのような車両が最適なのかを慎重に準備を進めて来たのであろうが、なぜ今なのか?

ひとつには、JR中央線特別快速、快速電車への2階建てグリーン車連結が決まったことである。新宿~八王子、高尾は京王線との競合区間であるから、対抗策を取らざるを得ない。もうひとつは、小田急の複々線化工事の完成であろう。

新宿から多摩ニュータウンへの足としては、京王と小田急が新線を開業して輸送を担ってきたのだが、これまでは京王の圧勝であった。早くから都心への直通電車を数多く走らせ利便性の向上を図ってきた京王に対し、小田急は小田原方面や江ノ島方面からの電車本数が極限に近く、直通電車を増発する余裕がなかった。

長年の悲願だった複々線工事が少しずつ進むにつれ、線路容量に余裕が生まれはじめ、多摩急行といった都心への直通電車が増え、徐々に京王からシェアを奪いつつある。2018年3月に下北沢付近の複々線化工事が完了することで、時間短縮、列車増発が叶い、多摩センターから都心への利便性も大幅に向上することが予想される。その時期に、着席保証列車を京王が導入することは、対抗策として有意義であろう。

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最終更新:7/20(木) 20:20
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